インターネット検索で世界最大手の米グーグルと国内最大手の日本のヤフーの提携をめぐり、公正取引委員会は2日、「独占禁止法上の問題はない」とし、容認する方針を示した。ただ、両社の提携でネット検索の国内シェアは9割を超えるだけに、“弊害”を指摘する声は消えない。公取委も「引き続き注視する」としている。
両社は7月に、ヤフーがグーグルからネット検索と広告表示分野の技術提供を受けることで合意したと発表。発表前に、公取委に提携が競争阻害にあたらないか事前相談し、公取委は「問題ない」と回答していた。
これに対し、ネット業界から「公取委はヤフーとグーグルの一方的な説明だけで判断しており、早計だった」という批判の噴出。米ヤフーと提携し、ねじれ常態にある米マイクロソフト(MS)が8月に公取委に調査を求める申告書を提出。10月にはネット通販大手の楽天も追随した。
さらに11月には自民党国会議員が「インターネット検索問題調査研究会」を設立し、両社の提携について「正常な競争が保てるとは思えない」(佐藤勉衆院議員)などと問題視した。
MSなどからの申告を受けて公取委は調査に着手。MSや楽天などのほか、インターネット専門家、広告代理店などに聞き取り調査を実施した。
その結果、広告などの表示順位を恣意的に操作するといった不当行為が確認できなかったほか、グーグルとヤフーが検索連動型広告に関する情報を共有しない対策をとっていることなどから、「問題ない」と判断。9割超のシェアについても、「両社の独自性は確保されている」とし、業界の批判を一蹴した。
ただ、公取委は、反響の大きさを考慮し、普段は事件化しない限り発表しない個別案件について、会見まで行うという異例の対応をとった。
IT業界では「すでにネット広告の価格がつり上げられている」といった寡占による弊害を指摘する声が出ている。公取委も「今後も独禁法に違反する疑いがあれば、厳正に対処する」との構えを崩していない。