「床下蓄熱」改良に着手 弘前の工務店と秋田大

 弘前市の工務店エルシィホームと秋田大大学院工学資源学研究科の今井忠男准教授(岩盤工学)は、地中に熱をため、住宅の暖房に使うシステムの改良に取り組んでいる。昨年11月から弘前市で実証実験を続け、消費電力の少ないシステム構築を模索している。
 システムは同社が販売する「ECO(えこ)サーマの家」。住宅土台として砕石や砂で作る「基礎地盤」と地下約2メートルまでの土壌を「蓄熱層」とし、床下に埋めたヒーターパネルで暖めて床暖房の熱源にする。住宅構造も工夫し、深夜8時間の蓄熱で1日の室温が20度前後に保たれるという。
 同社の菊池啓介社長は(1)蓄熱層の容量が大きい(2)建物の地下は放射冷却の影響を受けにくく、熱が逃げにくい―ことを挙げ「蓄熱式暖房機を使うオール電化住宅より、電気代が約2割節約できる」と説明する。
 実証実験は基礎地盤を改良し、省エネ効果を高める狙い。秋田大に相談した菊池社長が岩石の資源利用に詳しい今井准教授を紹介され、昨年6月に共同研究を始めた。
 実験は、同社が弘前市に新築した木造2階のショールームで1年間行う。今井准教授の指導で、砕石の状態などが異なる3種類の基礎地盤を用意。各地盤の温度を測って蓄熱や消費電力の状態を比べ、システムを改良している。
 今井准教授はこれまでのデータ分析を基に「基礎地盤の蓄熱性能を高めれば、従来より5、6割少ないエネルギー量で地中に熱を蓄えられる」とみる。菊池社長は「暖房費がかさむ北国の課題を解決したい」と言う。

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