本年度のグッドデザイン賞で、東日本大震災の津波で流された写真の洗浄、返却活動を展開する山元町のプロジェクト「思い出サルベージ」が金賞を受賞した。女川町が震災の被災者向けに整備した災害公営住宅「運動公園住宅」は復興デザイン賞に選ばれた。
思い出サルベージは2011年4月に活動を開始。町内で自衛隊などが回収した写真75万枚をボランティアが洗浄・データベース化し、町と連携して約40万枚を持ち主の元に返した。
現在は、住民が持ち込んだ被災写真の洗浄を全国のボランティア団体に依頼する仲介も手掛けている。
審査では、数多くの写真を返却した実績や、日常を捉えた写真の再生によって住民を前向きにしている点などが評価されたという。
思い出サルベージの溝口佑爾代表(31)は「住民らと顔を合わせ、共にプロジェクトを練り上げた。山元から明るい情報を発信でき、とてもうれしい」と話した。
女川町の運動公園住宅は、町と復興のパートナーシップ協定を結ぶ都市再生機構が建設した。陸上競技場だった敷地に集合住宅8棟(200戸)を整備。住民の交流の場となるコミュニティープラザやマルシェ広場が設けられ、ことし3月に入居が始まった。
被災地の復興に関わるデザインとして、住民の生活スタイルに配慮しながら日常的な交流空間に工夫を凝らし、早期に整備されたことなどが評価の対象となった。