「情報盗まれるゾッとする現実」

中国による通信機器を通じたスパイ活動に、米国が強い危機感を示した今回の事件をめぐり、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は7日の論説記事で、「世界中で(情報が)盗まれるというゾッとする新たな現実によって、スパイ行為が正体を現した」と指摘した。

 影に潜んでいたスパイ活動の問題が、今回の事件で明らかになり、市民生活に影響を与える課題であることも示している。

 同紙は英国、カナダ、オーストラリアの諜報機関幹部が、中国の活動に関する警鐘を鳴らすことに積極的になっていると分析。3カ国の諜報機関幹部が同様に、次世代移動通信システム(5G)について「信頼される企業だけで運用されるべきだ」と主張していることを紹介した。

 欧州においても5Gを使ったシステムは、携帯電話だけでなく自動車や冷蔵庫など生活のあらゆる場面に組み込まれ、便利さや生活環境の改善で期待されている。

 記事では、スパイ活動による軍事的な脅威だけでなく、「人々の生活」を守る上でも信頼できる通信網が必要であるとの認識を、英国政府などが示していることを強調した形だ。

 また、英紙ガーディアン(電子版)の6日の論説記事は、「西側の諜報機関が繰り返しインフラに華為技術(ファーウェイ)が関与することへの懸念を取り上げている」として今回の対立構造が「中国」対「米国+同盟国」であることを読み解いた。

 米国に続き、5Gの通信網整備から中国製品を排除したニュージーランドとオーストラリアに加え、諜報機関幹部がスパイ活動の危険性に言及したカナダと英国の5カ国が、機密情報を共有する枠組み「ファイブ・アイズ」のメンバー国であることにも言及している。

 英BBC放送(電子版)は7日、中国の主要企業が「中国共産党政権の影響力」に縛られないかが問われていることを指摘している。

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