「慶応優勝セール」はご法度! それでも便乗商法、割引サービス続出の舞台裏

第105回全国高野球選手権大会(甲子園)の決勝が23日に行われ、慶応(神奈川)が8―2で仙台育英(宮城)に勝利し、107年ぶり2度目の夏の甲子園優勝を飾った。慶応のおひざ元、神奈川・横浜市の日吉商店街は歓喜と熱気に包まれたが、優勝セールを巡って、早くも泣き笑いが起きていた。

 107年ぶりの快挙に日吉商店街が慶応フィーバーに沸いた。東急東横線・日吉駅から徒歩5分の場所にある定食店「とらひげ」は、慶応の高校生や大学生が利用し、野球部員も足しげく通う店ということもあり、報道各社が殺到。ランチ時間は通常午後2時までだが、決勝戦をテレビ観戦するために営業時間を延長し、常連客に開放した。

 歓喜の瞬間が訪れると店内には「やったー!」と歓声が上がった。和田花美店長は「心臓がバクバクしてる。『お疲れ様』と言ってあげたいですね」と喜んだ。

 フィーバーの一方で混乱も起きていた。商店街全体で喜びを分かち合おうと優勝セールを検討する店主もいたが、こちらは「待った」がかかりそうだ。

 日本高野連のホームページには、その基本理念である「日本学生野球憲章」が掲載されている。「野球部または部員を政治的あるいは商業的に利用しない」と記されており、商店街挙げての優勝セールはご法度。大規模に行うものなら、高野連から自粛要請され、過去にもめたケースもある。強豪校を抱える地域では、この内規は周知の事実だが、慶応は大正5年の第2回大会以来、107年ぶりの優勝で、知るよしもない。

 優勝セールを検討していた店主の1人は「知らなかったです。仕方ないですね…」とガッカリ。

 一方で、そんな高野連の内規は関係ないとばかりにいち早く優勝セールを行っていた家電量販店もあった。「日吉に感動をありがとう」と題し、各種の割引を実施。「慶応高校の名前は出さずにやっているので」(関係者)とある意味で、〝確信犯〟的に便乗セールに踏み切ったようだ。

 ほかにもネット上には、慶応大OBの美容クリニック院長が、来店の際に塾歌の斉唱や「サンキュー慶応」と告げれば大幅割り引きすると告知していたが、果たして高野連から待ったがかかるのだろうか。

 また優勝を記念して発行された各新聞社の号外を求めて、日吉駅前には長蛇の列ができた。すぐさまフリマサイトに出品する者が続出し、多くが1部3000円台で出品された。決勝戦のチケットがネット上で、定価の10倍以上となる5万円で販売され、問題となったが、号外も高校野球ファンや全国の慶応大OBからの需要があるのか、次々と売買が成立した。しばらく慶応フィーバーは続きそうだ。

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