「慶長三陸」「貞観」地震の津波堆積物同時に発見 岩沼

 宮城県岩沼市教委は、東日本大震災で被災した同市下野郷の地層で、慶長三陸地震(1611年)と貞観地震(869年)の津波堆積物とみられる砂層を発見した。仙台湾周辺の同じ場所で、時代の異なる津波堆積物が見つかるのは初めて。
 現場は海岸線から約1.2キロ内陸の位置。復興事業の一環で排水機場を建設するため、平安時代の土器が出土している高大瀬遺跡周辺を調査する中で確認された。
 慶長三陸地震の津波堆積物は、表層近くに積もった東日本大震災の津波堆積物の20センチほど下層で見つかった。厚さ約5センチの入り組んだ形の褐色の層で、細かい砂で構成されている。上面を江戸時代後期以降の水田耕作で削られており、本来の厚さは不明だという。
 貞観地震の津波堆積物はそのさらに30センチほど下層で確認された。厚さ25~30センチで、全体に青っぽく見える粗い砂が堆積している。直径3~8センチの粘土の塊や、上層に生えていた植物の根も多数入り込んでいた。
 調査結果について東北大災害科学国際研究所の後藤和久准教授(地質学)が3日、同市内で講演し、「農地耕作で消失しやすい慶長三陸地震の堆積物を含め、三つの砂層が1カ所で見られる場所は非常に貴重」と指摘。「過去の災害を知り、今後の防災教育に役立ててほしい」と話した。
 10日午前10時半から現地説明会が開かれる。連絡先は岩沼市教委生涯学習課0223(22)1111内線573。

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