「教室広げて」文科省通知へ 学校の姿を変える理由は

文部科学省は、全国の国公私立学校で普通教室の面積を広げるよう、設置者である市町村教育委員会などに促す方針を固めた。少子化で使わない教室もある半面、学級に使う普通教室が手狭になっているのだという。なぜなのか。 【画像】「1人1台端末」に対応 これからの学校施設の姿  学校施設について議論する有識者会議で16日に教室の拡大方針を盛り込んだ中間報告案が示され、了承される見込み。文科省は8月までに報告書を都道府県などに通知し、来年度予算の概算要求に設置者への財政支援を盛り込む。  文科省によると、公立小中学校では普通教室の約7割が65平方メートル未満(平均は64平方メートル)。教室の広さについて国の基準はないが、1950年に校舎の大量整備のために示されたモデル(7メートル×9メートル)通りの教室が多いという。 ■「1人1台」端末配備が影響  国のGIGAスクール構想により、今春から多くの小中学校でパソコンやタブレット端末が1人1台配備されたが、いま使われている机の半数ほどを占める旧規格の机(60センチ×40センチ)では教科書と端末を同時に扱いにくい。今後、より大きな新規格の机(65センチ×45センチ)を増やし、対応する電子黒板や保管庫も置くと、子どもの使えるスペースが狭くなる懸念があった。  中間報告案では、主に公立小中学校を念頭に増築による拡大を提案。また、少子化で普段使わない教室が増えていることをふまえ、壁を取り払って教室と教室をつなげたり、廊下との境をなくして広めに使ったりすることも例示した。改修ができない場合はロッカーを廊下に出す、余った教室を多目的に使えるようにするなどの工夫も盛り込む。  文科省は今後、「新しい時代の学びを実現する学校施設のスタンダード」(仮称)をつくって具体的な姿を示す方針。予算面でハードルがあることも踏まえ、一斉に進めるのではなく、多くの学校で必要になる老朽化対策と一体で行うことを提案する。文科省によると、直ちに対策が必要な築40年以上の公立小中学校は、昨年時点で約46%(面積ベース)に上るという。  教室拡大のほか、個別学習やグループワークに柔軟に使える多目的スペース、ICT(情報通信技術)が活用できる新たな図書館、リフレッシュのためのラウンジなどの整備の必要性も指摘した。(高浜行人)

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