「新型コロナ影響ある」東北企業91%に拡大 活動の停滞深刻

新型コロナウイルスの感染拡大の影響があると考える東北の企業は3月に入って計91.3%を占め、2月中旬の前回調査(53.0%)から大幅に拡大したことが東京商工リサーチの調査で分かった。東北支社は「企業活動の停滞が深刻さを増していることが浮き彫りになった」と指摘する。
 「現時点で既に影響が出ている」と回答した企業が46.0%(前回12.4%)に急増し、「現時点で出ていないが、今後出る可能性がある」も45.3%(40.6%)に上った。「影響がない」は5.1%(46.9%)にとどまった。
 既に影響が出ている企業の割合を業種別に見ると、農林漁鉱業の61.5%が最も高く、卸売業の56.7%、運輸業の53.3%、小売業の49.5%、サービス業他の49.0%が続く。前回は中国との取引に絡み製造業が最多だったが、外出自粛などで内需の縮小が幅広い業種に影響した。
 具体的な影響の内容(複数回答)は「イベント、展示会の延期・中止」が52.0%、「売り上げ(来店者)が減少」が51.8%、「マスクや消毒薬など衛生用品が確保できない」が51.1%。今後出る可能性がある影響の内容(複数回答)は「従業員が感染、または濃厚接触者に」が57.0%で半数を超えた。
 2月の売上高は全体の57.6%が前年同月割れ。うち前年の50%未満で低迷する企業が2.0%あった。
 感染症対策として在宅勤務やリモートワークを実施した企業は全体の4.6%にとどまった。小中高校の臨時休校を巡っては、子どもを抱える従業員の出社が困難になるなど「マイナスの影響を受けている」との回答が32.5%に上った。
 企業からは「社会保険料と納税の減免や納付延長を強く望む」(イベント企画・運営業)、「電話営業を推進して新規ユーザーの開拓に努める」(金属加工機械卸売業)などの声が寄せられた。
 東北支社の斎藤範明情報部長は「東日本大震災でダメージを負った企業に新型コロナが追い打ちをかけることも考えられる。終息が見通せない中で借り入れへの抵抗もあり、超長期の融資など弾力的で迅速な支援が必要だ」と訴える。
 アンケートは2~8日にインターネット上で実施し、回答があった東北1233社の結果をまとめた。

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