「日本のメディアは問題に蓋をして、事が起こってから白々しく報じる体質だと理解しておくべき」…ジャニーズ問題に20年以上前から「NO」を示してきた企業経営者の見識

加速するジャニーズ離れ

故・ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所に所属するタレントの広告起用を見直す企業が相次いでいる。

すでに東京海上日動火災保険、アサヒグループホールディングス、日本マクドナルド、日産自動車などが見直しを表明しているが、そのうちの一社であるアサヒグループホールディングスの勝木敦志社長は、朝日新聞の取材に対し「取引を継続すれば我々が人権侵害に寛容であるということになってしまう」「人権を損なってまで必要な売り上げは1円たりともありません」と言及。

9月12日には経済同友会の新浪剛史代表幹事が「所属タレントの起用はチャイルドアビューズ(子供に対する虐待)を企業が認めるということ。世界からも相当な注目を浴びている。断固として毅然たる態度を企業として示さなくてはいけない」と強いメッセージを発した。

スポンサーのジャニーズ離れがさらに加速しそうな中、ネスレ日本元社長の高岡浩三氏が自身のフェイスブックに記した見解が「これが正しい企業姿勢だろう」と話題になっている。

20年以上前から知っていた

<正直言って、いったい何をこんなに騒いでいるのだろうか?という感覚でジャニーズ問題を見ている。

クライアントサイドにいた私でさえ、ジャニー喜多川氏が元々性癖があってジャニーズ事務所を開設したという噂は、かれこれ20年以上前から噂として知っていた。メディア関係者も絶対私以上に知っていたはず。なぜなら、私が知ったのは業界関係者とメディアからだからだ。

ただ、ジャニーズが人気絶頂の間は嫌われたらジャニーズのタレントを使われなくなるからと、怖くてニュースにも出来ないと、テレビ、新聞等のメディアは蓋をしてきたわけだ>

メディアにとって耳の痛い指摘に続き、高岡氏はこう言い切った。

<私は、ネスレのガバナンスとコンプライアンス規定の観点から、キットカットと言えども一度もジャニーズのタレントをCMや販促に起用しなかった。私からすると、今回のジャニーズ問題はBIGモーター社と損保ジャパンの癒着問題と重なって見える。

今更、ジャニーズ事務所のタレントと契約しないという大手クライアントこそ、この手の問題を知っていたはずだし、知らなかったとしたら恥ずべきことだ。

それ以上に、日本のメディアはクライアントの不祥事や人気芸能事務所の問題に蓋をして、事が起こってから白々しく報じる体質だと理解しておくべきだ>

高岡氏の投稿を受け、SNS上では「企業もメディアもこれまで黙認していたのに手の平返しだ」「タレントに罪はない」などとさまざまな意見が出ている。

社会問題になる前から毅然と「NO」を示していた元大手企業トップの言葉は重い。踏み込んだ発言に込められた思いとは。後編記事『【独自】《ジャニーズCM打ち切り問題》元ネスレ社長独占告白! 看板商品のCMに退所後の香取慎吾さんを起用した「タレントには罪がない」という理由』では高岡氏本人に話を聞いた。

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