新型コロナウイルスの発生源である中国は、初動を誤って世界中にウイルスを拡散させたみずからの責任には一切触れず、感染拡大地域にマスク援助などを行い、あたかも世界の救世主であるかのように振舞っている。
そして、コロナ後の世界で主導権を取るために、中国は次の行動に出た。
アメリカに伸びる中国の魔手
今年5月13日、アメリカ国土安全保障省と連邦捜査局(FBI)は、新型コロナウイルスのワクチン開発に関連して、こんな警告を発表した。
「中国政府が支援すると思われるハッカーグループが、新型コロナウイルスのワクチンと治療薬剤ならびに医療機材の開発と臨床治験に関連する貴重な情報を、それらにかかわる職員を特定した上で盗もうとしているのを確認した」
FBIは新型コロナウイルスのワクチンや治療法、検査に関する知的財産や公衆衛生のデータを中国が盗もうとしていると指摘し、「中国の試みは、アメリカの新型ウイルス対策に深刻な脅威をもたらしている」と非難した。
だが、これは他所事ではない。
日本においても中国はワクチン開発の最先端情報を盗もうとしているのだ。
開発関係者をピンポイントで狙い撃ち
最近、日本の情報機関は政府にこんな事例を報告した。
――ある製薬関連企業に、東アジア系の2人組の男が強引にアポを取って来訪し、出資を持ち掛けてきた。彼らは出資と引き換えに、彼らが経営する企業から役員を入れることを要求した――。
一見、投資会社によるありきたりな営業活動と思える。
だが、この製薬関連企業は、目下、新型コロナウイルスの治療薬候補を用いた臨床試験を医療機関と共同で進めている真っ最中だったのである。
同じころ、その製薬関連企業以外にも、投資をもちかける不審な連絡が相次いでいた。
しかも、投資を持ち掛けてきた人々は、新型コロナウイルス関連の研究開発やマネジメントに携わる人々の所属や氏名などを詳細に把握しており、明らかにピンポイントで狙ってきた様子だったという。
さらには、複数の製薬メーカーや関連省庁の新型コロナウイルス担当者を特定したうえで送信したと思われる不審な電子メールも、多数報告されている。
「日本のごまかし」を付け狙う韓国の執着
日本が注意しなければならないのは、中国以外の国家も猛烈な勢いでワクチン開発情報を狙っていることだ。
WHO関係者は「現在の韓国政府のアプローチは異様だ」としたうえで、こう続ける。
「(ワクチン)開発情報を求める韓国政府関係者の雰囲気は、まるでそれをできないなら殺される、といった風で、他国の政府職員と比べて異様さが突出している。しかも韓国政府関係者たちの渇望はそれだけに留まらない。WHOに報告されてくる日本の感染者情報を入手することにまで異様な関心を示している」
同WHO関係者は、韓国政府関係者たちが「日本は感染者数をごまかしている」とみており、「その実態に関する情報を入手できれば、日本政府に脅しをかけ、外交的優位に立つことができる」と韓国側は考えている――との印象を抱いたという。
ただでさえ、文在寅政権は日本を敵視する政策を次々に繰り出してきた。
日本の外務省関係者は「韓国はプライドが何よりも優先される国柄。ワクチン開発で日本が先行し、韓国が頭を下げてその提供を受ける、というシーンは絶対に受け入れられない」と指摘する。
では、日本が中韓からワクチン開発情報を防衛するにはどうすべきなのか?
詳しくは麻生幾のレポート「 中韓が狙う日本の『コロナ機密情報』 」(「文藝春秋」8月号および「文藝春秋digital」掲載)をお読み下さい。
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(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2020年8月号)