【短期集中連載】三橋貴明×飯田泰之対談 [日本は成長できる!]Vol.1
8月末に刊行された経済評論家で作家の三橋貴明氏の著書『ぼくらの日本』(小社刊)。ここで三橋氏は「経済成長こそ、すべての解だ! 」と唱え、そのためには「デフレ対策としての公共投資」だと具体的な施策を提言する。
一方、エコノミストの飯田泰之氏も、リフレ派の論者として2003年から「デフレ脱却」を主張。『経済成長って何で必要なんだろう?』(光文社)『ゼロから学ぶ経済政策 日本を幸福にする経済政策のつくり方』(角川oneテーマ21) 、『脱貧困の経済学』(共著・ちくま文庫)など、数々の著作で脱デフレ、経済成長の必要性を訴え続けてきた。
具体的な政策提案に違いはあれど、共通するのは「脱デフレ以外の経済成長なし」、そして「日本は成長できる!」という点だ。
今回、日刊SPA!では、「短期集中連載」として三橋貴明氏と飯田泰之氏による過激な経済対談を5回にわたってお届けする。デフレ下における消費増税の愚、なぜ、日銀&財務省はデフレ好きなのか? 日本の過ち、そして、日本が成長できる“理由”が語られる!
※本対談は、週刊SPA!9/11発売号「週刊チキーーダ!」において実現。紙幅の都合で紹介できなかった約2時間、文字にして2万字超の熱き対談の「ほぼ全部」をここに掲載する。
◆「日本ダメ論」を唱える“インテリ様”のメンタリティ
飯田: TPPに対する意見の違いがあるので相反するように思われがちですが、三橋さんと僕はそんなに大きなスタンスの違いはないですよね。「100年デフレ」だの「人口減デフレ」だの、そんなことは言わないよ、というのも同じ。
三橋: プロパガンダ言説ですね。究極のデフレ論は、「財政難だからデフレ」ですけど(笑)。まあ、国内のデフレへの問題意識はある程度、共通認識ができました。財政破綻だとか言っている財務省のプロパガンダ集団はほっておいて、残りの人たちがちゃんとデフレ対策を議論すべきです。
飯田: 日本の“インテリ様”というのは、日本の悪口を言っておけばそれでいいと思っている節がありますよね。外交も教育も歴史認識も、とにかく「日本はダメだ」と。
三橋: たぶん、彼らの頭の中の”言論の自由”というのは“批判する自由”であり、“肯定する自由”ではないんですよ。言論イコール「ダメだ!」って叫ぶことだと思っている。
飯田: かつて、自民党政権の磐石たる体制が築かれていたときは、インテリの存在価値というのは、どんどん成長する経済界に対して、それについていけない人の“ガス抜き”……つまりは、ちょっとした添え物として、ある程度、機能していたと言えなくもない。
しかし、実際に論争や議論が政策に生かされる状態になると、代替案のないダメ出しなんて、ただ足を引っ張るだけです。
三橋: バブル崩壊後、1997年の橋本政権以降というのは、日本はデフレで本当にダメな国になってしまった。そこから脱却しないといけないのに、彼らの議論はそれを妨害するんです。日本はダメだ、日本は成長しない、日本は悪い国だーーその結論が先にあって、それに合う、理屈にもならない理屈を持ち出してくる。「財政破綻論」がその筆頭ですが、これを32年間やっているのですから、本当にバカげてますよ。
飯田: 消費税導入どころか、「大型間接税」導入からずっと言ってます(笑)。
三橋: それをまた利用する官庁があって、代表が財務省と日銀。日本ダメ論と日銀と財務省がくっついてしまうと、デフレ脱却ができない。それで実際に彼らが言うように、日本がダメな国になっているというのが現状です。非常にまずい状況だと思います。
⇒Vol.2『 「○○だからデフレ」論を喝破する』に続く http://nikkan-spa.jp/289171
【飯田泰之】
いいだやすゆき●1975年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学大学院博士課程単位取得中退。駒澤大学経済学部准教授。著書に『脱貧困の経済学』(共著・ちくま文庫)、『ゼロから学ぶ経済政策 日本を幸福にする経済政策のつくり方』 (角川oneテーマ21) 『世界一シンプルな経済入門 経済は損得で理解しろ! 』(エンターブレイン)
【三橋貴明】
みつはしたかあき●1969年、熊本県生まれ。1994年、東京都立大学経済学部卒業(現:首都大学東京)。2008年に中小企業診断士として独立し、現在は作家、経済評論家としても活動している。著書に『崩壊する世界 繁栄する日本』『マスゴミ崩壊』『4万2246票』『国民の教養』(以上、扶桑社)、『コレキヨの恋文』(小学館)、『悲観論に踊らされるな! ニッポン経済集中講義』(技術評論社)