「日本一の砂丘」鳥取じゃない? もう一つの「最大級」は青森に 立ち入り禁止の理由は〝秘密施設〟だった

「日本の巨大砂丘」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのはおそらく「鳥取砂丘」。しかし、国内には別の“最大級”の砂丘があり、そちらの方が大きいと言われることもあります。知られざる理由は、その砂丘が立ち入り禁止だから。一体どういうことか、調べてみました。(withnews編集部・朽木誠一郎) 【画像】この砂丘で実施される防衛省の「静爆試験」「水中爆発試験」「スレッド試験」

防衛省の実験場がある

その砂丘とは、青森県下北半島の東通村にある猿ヶ森(さるがもり)砂丘。アイヌ語の「サル・カ・モライ」に由来するとされます。太平洋に面して南北約17km、東西約2kmに広がる巨大な砂丘です。 このエリアの資源を活用した保全・研究、教育・防災、地域振興などに取り組む下北ジオパークによれば、猿ヶ森砂丘の中には、砂の移動によって水の流れが堰き止められてできた大小さまざまな湖沼や、かつてのヒバ林が砂に埋もれた様子を観察できるヒバの埋没林など、豊かな自然があるとのことです。 鳥取砂丘よりも大きいと言われることもある猿ヶ森砂丘。実際のところはどうなのか、事務局担当者に聞くと、このような回答が。 「まず、『砂丘』について抱きがちな誤解として『海岸付近の起伏のある砂浜』というものがあります。実際にはそうではなく『風によって運ばれた砂が堆積してできた丘状の地形』のことを指します。 そのため、植生に覆われていたり農地や市街地に活用されていたりしても『砂丘』である場所があります。猿ヶ森砂丘の面積は広く見積もって約3000haであり、鳥取砂丘も約2500haの広さがあります」 そもそも難しい「砂丘」の定義。なお、ネット上には猿ヶ森砂丘について、「(砂丘自体の)面積は15000ha」「鳥取砂丘の30倍」といった情報と共に同砂丘が日本最大と書き込まれることがありますが、これは誤解で、実際には日本一かどうかの判別は難しいとのこと。 その理由はもう一つあります。この猿ヶ森砂丘、実は大部分が1959年から防衛庁(現防衛省)の試験場として弾薬などの実験に使われており、一般人は立ち入りできません。したがって、正確な面積の計算もしにくいということでした。 同砂丘の中央は実験場、両端からは巨大な砂丘を望めるものの、そこは近隣集落の共有地になっており、集落の許可が必要とのこと。そのため、猿が森砂丘も“日本最大級”でありながら、あまり知られていないということでした。 念のため鳥取県の担当者を取材すると、「面積ではおそらく猿ヶ森砂丘が最大」という回答が。「巨大砂丘」というイメージ一つを取っても、実際に調べてみると、また違った日本の一面が見えてきます。 【連載】#ふしぎなたてもの 何の気なしに通り過ぎてしまう風景の中にある #ふしぎなたてもの 。フカボリしてみると、そこには好奇心をくすぐる由縁が隠れていることも。よく見ると「これなんだ?」と感じる建物たちを紹介します。

タイトルとURLをコピーしました