「日産自動車」上場廃止の危機! 会長・ゴーン容疑者の銭ゲバ露呈…強欲ぶりは外国人社員にも影響 「日産は外国人の食い物にされていた」

「救世主」ともてはやされたカリスマ経営者が、まさかの転落劇だ。東京地検特捜部に逮捕された日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の「強欲」な私的流用が明らかになりつつあるのだ。前妻との離婚訴訟や再婚費用に使ったとの見方も浮上。ゴーン流の会社の私物化をまねる外国人社員も続出し、日本人社員の不満が蓄積していた。ゴーン容疑者を追放した形の日産は、捜査当局との「司法取引」で影響を最小限にする狙いだが、関連企業の株は売り浴びせられ、日産は上場廃止リスクに直面する。「ゴーン・ショック」直撃は避けられそうにない。

「(ゴーン容疑者)1人に権力が集中しているから起きたとはいえないが、誘因になっていたとは思う。公正なガバナンスをどう保つのかは大きな課題だ。長い間、ルノーと日産両方のCEO(最高経営責任者)を兼務していた時代もあり、やり方に無理があったと思う」

19日夜に記者会見した日産の西川(さいかわ)広人社長は、こう述べた。

ゴーン容疑者は、自身の役員報酬を計約50億円過少に申告した疑いがあるとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、同社代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)とともに逮捕された。

だが、西川氏は記者会見で、役員報酬の減額記載に加え、私的な目的での投資金支出▽私的な目的での経費支出-の2点をゴーン容疑者の「不正行為」に挙げた。

ゴーン容疑者は私生活でトラブルを抱えていた。

「週刊文春」が今年5月、《日産ルノー連合トップのドロ沼離婚訴訟 「夫カルロスゴーンは私の首を絞めた」》という見出しの記事を報じたのだ。記事には、前妻のリタ・ゴーンさんが登場し、ゴーン容疑者によるDVや現在の妻との“不倫疑惑”を告白している。

自動車業界に詳しいジャーナリストの井上久男氏は「日産社内では、ゴーン容疑者が前妻との離婚訴訟費用に会社のカネを使ったり、ニューヨークに日産が所有している物件を個人事務所として私物化していたと推測されている」と明かす。

ゴーン容疑者は、日産側がオランダなど海外4カ国で購入した複数の住宅を無償で利用していたとみられる。

ゴーン容疑者は現在の妻と、フランス・ベルサイユ宮殿で結婚式を挙げたと報じられているが、その費用についても、会社のカネを充てたとの噂もあるという。

社内でささやかれていたゴーン容疑者の「強欲ぶり」は、ほかの外国人社員にも悪影響を与えていたとされる。

井上氏は「ゴーン容疑者が、会社を『私物化』していることは社内で知られていたため、一般の外国人社員までゴーン容疑者と同じような振る舞いをしていたといわれている。役員でもないのに、役員級の福利厚生を求めるなど『日産は外国人の食い物にされていた』との声が上がっていた」と語る。

ゴーン容疑者の私的流用の詳しい内容については明らかになっていないものの、内部通報を受けた日産が数カ月かけて社内調査を実施していた。

さらに、今回の事件では、東京地検特捜部が日産関係者との間で、「司法取引」に合意していたことが判明している。

今年6月から始まった司法取引制度では、容疑者や被告が共犯者らの犯罪事実解明のために供述する見返りに、起訴の見送りや刑を軽減することができる。その対象は、贈収賄や脱税、詐欺といった財政経済犯罪や、銃器・薬物犯罪、独占禁止法違反や著作権法違反などだ。

元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏は「金融商品取引法も司法取引の対象となっている。今回の事件は内部通報で明らかになっており、有価証券報告書の虚偽記載には、ほかの内部の人間も関わっているはずだ。彼らが不正を話すということが、捜査当局にとっては大きな証拠固めになる」と話す。

19日の日産の記者会見では、報道陣から「クーデター」との見方も上がった。西川社長は「調査の結果、不正が出て、除去する。『クーデター』という風に受け止めていただきたくはない」と否定したが、「除去」という言葉に会社側の強い意志が感じられる。

絶大な権力を誇ったゴーン容疑者と「決別」した日産だが、決して明るい未来が開かれているわけではない。

ゴーン容疑者が会長を兼務するルノー株はすでに、急落が報じられた。日産本体や資本関係を結んだ三菱自動車への影響も必至で、日本の自動車産業全体にも悪影響が広がる恐れがありそうだ。

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