「暴走大臣」田中文科相独断専行は選挙パフォーマンス?

「暴走老人」と石原慎太郎氏を強烈に皮肉った田中真紀子文科相は、さしずめ「暴走大臣」だろう。来春開校予定だった3大学に対し「不認可」として騒動になっている。大学設置・学校法人審議会が出した「認可」の答申を、有無を言わせず土壇場でひっくり返した。恐るべき“腕力”の強さではある。
 日本の大学数は5月現在783を数える。田中大臣は「約800校もある中、大学教育の質が低下している」と指摘した。それはわかるが、そうした質の低下は既存の大学の責任ではないのか。努力不足で行き届いた教育ができず伸び悩んでいる大学には私学助成金をカットし、自らの意志で学部を減らすなどの改善を迫るべきだろう。
 不認可とされた3大学は、そんな既存大学の教育内容を研究し「他の学校がやらないような教育を」と、チャレンジ精神に燃えていたことだろう。既存側はそのままで新設側に何もやらせないまま、バッサリその芽を摘んでしまっては質は低下する一方ではないか。文科相の論理には矛盾がある、と言われても仕方ない。
 国の根幹に関わる教育の問題。このまま野党が黙っていたら日本もオシマイと思っていたら、さすがに自民党・石破茂幹事長が3日の会見で、「いかなる根拠にもとづくのか、思いつきでないということをきちんと述べない限り誤った政治主導だ」と正論を吐いたのには救われた。
 今回の独断専行は選挙へ向け、存在感を見せるための大臣のパフォーマンスとの見方もあるという。もしそうなら不認可3大学はよけいやりきれない。大臣の裁量権乱用に「待った」をかけるのが国会の役目なら、国会で徹底的に追及してもらいたい。(今村忠)

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