近年、日本には不動産バブルが到来している。加えてマイナス金利の解除も決定し、「家を買おうと思っていたけど、今はタイミングじゃないのでは?」と不安に感じている人も多いのではないだろうか。
そんな住宅購入を不安に感じる人の悩みを解決するために『住宅購入の思考法』が発刊された。本記事では、著者の江口亮介氏による住宅購入に関するオリジナルコンテンツを配信する。
● 自分が知らない未公開物件がたくさんあると思ってる
住宅購入で多く見られる勘違いは、「自分が知らない未公開物件がたくさんある」と考えているケースです。
みなさん最初は希望に満ち溢れて家探しを始めますが、途中で理想の物件を見つけられず悩んでしまう方は少なくありません。
その理由は、予算制限があるなかで、100%理想に合う物件が現れないからです。同時に、そういった人は過去の不動産取引や事例から、理想の物件がきっとどこかにあると信じてしまいます。このような考えが、物件購入の決断を遅らせてしまう主な原因です。私はこれを「白馬の王子様症候群」と呼んでいます。
また、なかでも特に多いのが、「私の知らない間に未公開の状態で私の理想の物件は取引されていっているんだ」と思い、ますます自分の手に渡る物件情報を好きになれないと、悪循環に陥ってしまうケースです。
しかし、実際には未公開物件は特に都市部ではそこまで多くありません。なぜなら、情報が広く公開されるほうが売主にとっても買い手を見つけやすいということをわかっているからです。そのため、未公開物件が多いと考えて物件購入を躊躇する人は幻想に抱いているだけで時間を浪費してしまっている可能性が非常に高いです。
この勘違いを解消するためには、まず未公開物件について理解することが大事です。未公開物件については2つのケースがあります。1つはタイムラグ的未公開状態、2つ目は新築戸建てにおける建築確認前未公開状態です。
● タイムラグ的未公開物件とは
まず、みなさんがイメージしやすい未公開物件というものは、1つ目のタイムラグ的未公開状態です。
物件情報とは、売り主が売りに出すぞと不動産会社に依頼して、売物になってから不動産ポータルサイトで公開されるまで、多少のタイムラグが発生します。このタイムラグは不動産業界ではある程度許されている範囲ではあるのですが、その間に物件を預かった不動産会社は(物元と呼びます)、なるべく早く、買い手も自分のお客様の中から決めたい(なぜなら手数料が買い手からももらえるから)と考えます。
しかし、実はこういったケースの未公開物件は売り出してから時間が短いこともあり、金額が高いケースが多いです。そのため、必ずしも未公開物件=いい物件というわけではないのです。
かなり特定したマンションや条件のみを求めているという場合を除いて、未公開物件だけを追い求めると言うのはあまり合理的ではないということが分かるかと思います。
● 建築確認前未公開物件とは
もう1つのケースが、新築戸建ての場合です。マンションに比べて土地や戸建ては、不動産会社が土地を購入したあとに造成や建築を行って最終的に売りに出すのが一般的です。
その場合、そこに建物を建ててもよいという許可(建築許可)を行政からもらってはじめて売れる状態になります。加えて広告規定上、開発許可が取れた後でないと広告を行ってはいけないという規定にもなっています。
そのため、多くの不動産会社はなるべく早く物件情報を出したいのですが、開発許可が下りていないと広告が打てず、内部に限定して情報を流し、なるべく早くにお客様を見つけようとしています。
そして、開発許可が下りたときにもうお客様がいるよという状態に持っていけると、不動産会社としても非常に嬉しい状態になるわけです。
新築戸建は商流の流れ上、どうしてもこのような状況が起きますので、なるべく早いタイミングで自分が求める情報を仕入れることが有効になります。なので、自分が買いたいエリアや地域に強い不動産会社と継続的に連絡を取り合って、情報を仕入れる努力をしましょう。
このように未公開物件といっても、皆さんのニーズによって対策は変わってきます。とはいえ、基本的に、未公開だからいいということはあまりないので、そこは焦らずに、皆さんの価値観で家を選んでいくことが重要です。