「世界的にも物価が高い」と言われ続けてきた東京のイメージを覆しそうな調査結果が英国で出た。遠出した旅行先で買うものの値段を世界30都市で調べたところ、東京が最も安く、最も値段が高かったブラジルのリオデジャネイロの3分の1以下だった、というのだ。
店舗間の競争が激化した上に、円安が進んだことが原因のようだが、とりわけ英メディアでは「外食の安さ」について驚きをもって報じられている。
ビールやコーラの値段を足して比較する
調査は、英国の郵便局が通貨両替サービスのPRの一環として毎年発表している「長距離休暇レポート」の17年版で、17年9月中旬に発表された。世界30都市でコーヒー、現地のビール、コカ・コーラ、グラスワイン、カクテル、チョコレートバー、ミネラルウォーター、日焼け止め、虫よけ、ボトルのハウスワインつきのコース料理2人分、の10点について値段を調べ、合計額を比較した。
今回の調査が10回目で、東京が「最安」になるのは初めて。東京の合計金額は48.9ポンド(約5500円)で、2位のケープタウン(南アフリカ共和国)の64.5ポンドを大幅に下回った。3位以下のベスト10は、モンバサ(ケニア、68.56ポンド)、コロンボ(スリランカ、75.83ポンド)、ホイアン(ベトナム、76.74ポンド)、バリ(インドネシア、76.95ポンド)、タマリンド(コスタリカ、79.94ポンド)、オーランド(米国、80.60ポンド)、ペナン(マレーシア、81.77ポンド)、プンタ・カナ(ドミニカ共和国、85.34ポンド)だった。30都市のうち高かったのはリオデジャネイロ(ブラジル、160.00ポンド)、ジュメイラ・ビーチ(ドバイ、157.75ポンド)、チャイナタウン(シンガポール、152.34ポンド)の順だった。
ポンドに対して円安が進んだのも一因
一連の結果を、英デイリー・テレグラフ紙はウェブサイトで
「世界最安の遠出先?驚きの結果かもしれない」
の見出しで報じ、東京について
「レストランやバー、カフェで競争が激化したのに加えて、(ポンドに対して)大幅に円安が進み、1年で23%値段が下がった」
と分析している。なお、東京の48.9ポンドのうち、最後の項目のコース料理代が35.02ポンド(約3900円)を占める。全体に占めるコース料理の割合が高いのは他都市でも同様だが、東京の35.02ポンドという額は30都市の中で最も安く、同紙では
「(東京が)ミシュランガイドで星付きの店が世界最多だということは注目に値する」
と指摘している。日本の次にコース料理代が安かったケープタウンでは、40.12ポンドだった。
日本政府観光局(JNTO)が9月20日に発表した推計値によると、17年1~8月にかけて英国から前年同期比5.7%増の20万2300人が日本を訪れている。8月は前年同月比3.5%増の2万2200人で、8月としては過去最高を記録。JNTOでは、増加の背景を
「英国経済の改善傾向を背景に、訪日旅行プロモーションの効果が発揮されやすい環境にある中、経由便の航空券が低価格で販売されたことも、訪日者数の押し上げに貢献した」
と分析している。