「東北の技術に力」 日産副社長が商談会で取引に意欲

東北6県の産学官でつくる「とうほく自動車産業集積連携会議」は9日、初の日産自動車向け商談会を神奈川県厚木市で始めた。会場を視察した日産の山下光彦副社長は「東北の力を感じた」と取引への意欲を示した。ただ、同社を含めて国内のメーカー各社は海外からの部品調達を増やす傾向にあるのも事実。出展企業の関係者らは高いハードルを乗り越えて参入を目指す思いをより強めた。
 「小さなハイテク部品に技術が蓄えられ、東北の力を感じた」。山下副社長は各社の新製品などの提案を見て回り、こう感想を語った。
 日産によると、同社が直接取引している企業は現在、東北全体で43社にとどまる。いわき市のエンジン工場も関東からの部品調達がほとんどという。
 こうした事情も踏まえ、山下副社長は「品質のいい部品は取引対象にしていきたい」と強調。別の日産関係者もセントラル自動車(相模原市)の宮城県進出を見据え、「トヨタグループが出てくることで東北の層が厚くなれば(日産グループの)メリットにもなる」と期待する。
 一方で日産は「世界最適調達」をうたい、国内の完成車工場での海外からの部品調達割合を22%まで高めた。7月にはタイの工場で生産した新型「マーチ」の国内販売もスタートさせ、海外生産の色合いを強めている。
 高いハードル克服に向け、出展企業からは積極的な声が相次いだ。亜鉛めっき技術を提案したサンビックス(郡山市)の猿渡旭社長は「円高もあって国内の自動車産業全体が厳しい。参入には海外勢に負けない品質、技術が不可欠」とレベルアップを期す。
 次世代車市場をにらむのは、仙台市に東北工場を持つ共栄電資(東京)。小松亘生産技術開発センター長は、商談会で提案した電気自動車など向けのプリント基板について「引き合いは既にある。これから2、3年が勝負になる」と力を込める。
 連携会議の代表幹事を務める達増拓也岩手県知事は「ハードルは確かに高くなっており、開発機能や人材育成の取り組みを強化するなど、企業も行政もさらなる工夫が必要だ」と話した。

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