「楽しみにしていたのに」=新型肺炎で旅行キャンセル続出―書き入れ時の業者も打撃

新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け、卒業旅行をキャンセルする大学生らが増えている。「楽しみにしていたのに」「タイミングが悪過ぎる」。感染への不安から、学生時代の思い出づくりがかなわぬ事態となっている。修学旅行にも影響が出始めた。

 「卒業旅行が中心の2月と3月の予約は5分の1がキャンセルになった。早く終息して」。東京都新宿区の大手旅行代理店担当者は、書き入れ時の打撃に声を落とした。「感染が心配」「親に説得された」などの理由が多く、「他の方はどうですか」と尋ねるケースも相次いでいるという。

 「社会人になったら長い休みは取れない」。愛知県の女子大学生(22)は、友人と2人で台湾などを巡る8泊9日のクルーズ旅行を計画していた。しかし、新型ウイルスの流行で航行自体が中止に。「海外も船旅も初めてで楽しみにしていた。せっかくパスポートまで取ったのに」と残念がった。

 海外への修学旅行も取りやめが相次いでいる。文部科学省には学校から「この時期に行くべきか」との問い合わせや、「中止を決めました」といった報告が寄せられる。担当者は「中国だけでなく、周辺国への渡航をやめる学校もある。保護者の反対が大きいようだ」と話す。

 一方、海外から日本への修学旅行にも影響が出てきた。

 台湾の台中市立文華高級中等学校は10日、修学旅行先の香川県に延期を申し入れた。生徒三十数人が同県丸亀市の私立学校を訪問し、剣道や茶道などを体験する予定だったが、同校は「日本で新型ウイルスの感染が拡大し、参加希望者が半減した」と説明。日程の都合から結局中止になったという。

 交流事業を推進してきた同県国際観光推進室の担当者は「生徒の親が心配したと聞いている。相手が決めることなので仕方がない」と話した。

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