「標識の意味分からず」「気にせず走った」訪日客レンタカー事故多発

交通ルールの理解不足などから訪日外国人が北海道内でレンタカーを運転中に起こした事故は2018年までの過去5年間で72件に上り、沖縄県(189件)に次いで、全国ワースト2位だったことが、公益財団法人「交通事故総合分析センター」(東京)の調査でわかった。道警は札幌市で2020年東京五輪のマラソンと競歩などが開催されることを踏まえ、さらに訪日客が増えるとみて警戒している。

■「止まれ」読めず

 「標識の意味が分からなかった」。上富良野町の道道と町道が交わる十字路交差点で11月7日、レンタカーのワゴン車を運転中に、大型トラックと出合い頭に衝突した台湾人観光客の男性会社員(35)は、道警にこう説明した。

 交差点ではワゴン車側に「止まれ」の一時停止の標識があったが、「STOP」と英語での併記はなかった。男性は「信号は守っていた。意味が分からない標識は、気にせずに走っていた」などと説明をした。

 このワゴン車には男性と親族の男女計7人が乗っており、男性の妻(35)が頭を強打して意識不明の重体となり、幼児を含む男女5人も重軽傷を負った。

 3月には占冠村の道東自動車道でも、台湾からの観光客だった男性ドライバーが路側帯を走行し、縁石に衝突。はずみで対向車線の除雪車とぶつかり、同乗する女性とともに重軽傷を負った。男性は路側帯を走行車線だと思っていたという。

 全国レンタカー協会(東京)によると、18年度に訪日外国人に道内でレンタカーを貸した件数は9万5155件(前年比1万519件増)。国・地域別では、韓国が最多の2万2335件で、香港1万9720件、台湾1万8857件などと続いており、道内は多くの訪日客の人気を集めている。

 その一方で、訪日外国人が運転するレンタカーによる人身事故は14~18年に72件も発生している。交通ルールを十分に把握していないことによる「出合い頭」の事故などが目立つ。

■英語で説明

 こうした事態を受け、道警は、外国人観光客に交通ルールを理解してもらおうと、東日本高速道路北海道支社とともに、英語で一時停止や進入禁止などの交通標識を掲載したクリアファイルを作成。新千歳空港周辺のレンタカー店などに無料で配布している。

 「トヨタレンタリース新札幌新千歳空港すずらん店」では今月2日、香港から道内旅行でレンタカーを借りに来たという30歳代の男性にスタッフが英語で話しかけた。

 「冬道を運転したことはありますか」「日本の標識は理解していますか」。スタッフは、道警などが作成したクリアファイルを示しながら、日本の交通標識などを説明した。注意深く、スタッフの話を聞いていた男性は「日本のルールを守り、安全運転で旅を楽しみたい」と笑顔を見せた。

 道警は交通標識に英語を併記する取り組みを続けており、交通部の米原良己管理官は「来年は五輪が開催され、特に多くの訪日客の来道が予想される。外国人ドライバーに日本の交通ルールを理解してもらうよう、さらに努める」としている。

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