7日に開通した気仙沼市の大島と本土を結ぶ気仙沼大島大橋(356メートル)の架橋に伴う航路事業の廃止で損失を被ったとして、同市の運航会社大島汽船が11日、宮城県に約9000万円の損失補償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
訴えによると、1948年設立の同社は2003年から、市の第三セクターとして本土と大島を結ぶ定期旅客船の運航を続けた。架橋に伴い、航路事業は廃止された。
同社は16年3月以降、連絡協議会を設け、県に補償を打診し続けた。県は昨年9月、離職者への退職金の一部を支払うと回答。船着き場の撤去費や営業損失などの補償は拒否した。
同社は、他県で離島と本土との架橋に伴う渡航事業の廃止があった場合、適切な損失補償がなされてきたと指摘。「十分な補償を行わない県の不作為は違法だ」と主張している。
仙台市内で記者会見した同社の白幡昇一社長(67)は「事業の廃止は仕方ないが、県の対応はあまりに冷たい」と述べた。
村井嘉浩宮城県知事は「訴状が届いていないため、コメントは差し控える。届き次第、内容を精査し、対応を検討する」との談話を出した。