「気候クラブ」設立を決定 新興・途上国交え脱炭素化 G7首脳会議

主要7カ国(G7)の首脳は12日のオンライン会議で、産業分野での二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減に取り組む「気候クラブ」の設立を正式に決めた。日本がG7議長国を務める来年中に、新興国や途上国も交えて本格的に始動できるようにする。  気候クラブは、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える目標を掲げた「パリ協定」の実行を後押しするため、今年のG7議長国のドイツが提唱。6月にドイツ南部エルマウであった首脳会議の共同声明に年内の設立方針が盛り込まれた。  先進工業国の集まりであるG7だけでなく、趣旨に賛同する新興国や途上国も交え、エネルギー部門など産業分野での「脱炭素化」を進める点が特徴だ。  参加国は、脱炭素に向けた戦略や具体的な進め方、基準などで足並みをそろえる。新しい技術への投資や気候に配慮した製品の購入を増やすことなどでも協力し、気候への負担が大きい旧来型技術への投資が続かないようにする。  参加した新興国や途上国は、脱炭素化に向けた自国の産業転換を進めるための支援が受けられるようにする。先進国としても、気候対策を進めて自国内の企業が競争上不利となり、生産拠点の移転を迫られないようにする思惑がある。  G7は、いずれも本部をパリに構える経済協力開発機構(OECD)と国際エネルギー機関(IEA)に対して、気候クラブの当面の事務局を連携して設けるよう要請する。  ドイツのショルツ首相は会議後の記者会見で「気候クラブはG7以外にも開かれたオープンな協力の枠組みだ」と述べ、多くの国の参加を期待した。来年の議長国の日本の下でも「取り組みが継続され、成功することを祈る」と話した。(ベルリン=野島淳)

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