「決断遅すぎ」「場当たり的」保護者いらだち 仙台市、始業式・入学式を急きょ延期

仙台市が市立小中高校の始業式と入学式の延期を14日夜に急きょ発表したことで、振り回された保護者からは「決断が遅すぎる」と不満の声が上がった。晴れの日に合わせて仕事を休んだ親や知らずに登校した子どもも…。新型コロナウイルスの感染拡大防止のためと理解しつつ、二転三転する市の方針にいら立ちをあらわにした。

 仙台市泉区の桂小新1年生で、6歳の三つ子のイェルグ・元吉(もとき)君、瑞幸(みずき)さん、藤香(ふじか)さんは15日昼に着飾って登校し、校門前で入学式の延期を知った。
 「えー!」「楽しみにしていたのに」「どうして」。落胆した3人は両親と記念撮影だけ済ませ、引き返した。学校側が15日朝に送った延期を知らせるメールに気付かなかったという。
 泉区の会社員松川仁美さん(34)は「学校は感染リスクが高いと思っていたので、延期がいい」と考えていた。ただ、小学校生活を楽しみにしていた長女(6)は2度の入学式延期に「考えないようにしているから大丈夫」とつぶやいたといい、「もう少し早く決めてもらえたら娘の心持ちも違った」と話した。
 小学3年の長女(8)が宮城野区の小学校に転入する主婦(37)も「方針が二転三転し、子どものメンタルや親の生活が振り回されている。遅くとも(市が休校延期を公表した)13日に判断してほしかった」と憤った。
 16日に長男が中学校に入学する予定だった青葉区の大学非常勤講師の女性(46)は「市の対応は場当たり的。学習や過ごし方について何の対策も呼び掛けられていない」と批判。「せめて教科書は速やかに配布してほしい」と注文した。
 感染防止のため、悩みながらも入学式を欠席させるつもりだった保護者もいる。長男(6)が小学校に入る青葉区の主婦(42)は「長男だけ欠席することにならず安心した」と語った。

◎校長「仕方ない」 深夜に教諭登校し対応

 15日に予定していた仙台市立小中高校の入学式と始業式が直前で再び延期となり、学校関係者は保護者への連絡などに追われた。休校延長に加え、節目の行事もいまだ実施できない子どもたちを心配する声も相次いだ。
 宮城野区の小学校は、入学式会場にマスクやアルコール消毒液を準備していた。校長は「あまりにも急」と驚きつつ、「安全を守るための判断」と受け止める。
 一方で「初めての学校に不安を感じている中で入学式がたびたび延期になり、傷ついたり学校が嫌になったりしていないか」と新入生をおもんぱかった。
 若林区の中学校長は14日夜に連絡を受けた。深夜に担当教諭に登校してもらい、保護者宛にメールを一斉送信した。「せめてあと半日早く決めてほしかったが、式典や学校再開を心配する保護者も少なからずいる。仕方がない」と語った。

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