「河野発言は重大な問題」と非難

自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」(委員長・中曽根弘文元外相)が慰安婦問題をめぐる誤った認識を正すため策定した提言の最終案が27日、分かった。

平成5年に河野洋平官房長官(当時)が、慰安婦募集の強制性を認めた談話を発表後、「(強制連行の)事実があった」と発言したことを批判し、政府に日本の立場、取り組みなどの発信を強化するよう求めた。

自民党は28日の党総務会で提言を正式決定し、安倍晋三首相に提出する。

提言は、河野氏の発言や吉田清治氏の虚偽の証言に基づく朝日新聞の一連の誤報を「事実に反する認識を韓国をはじめ国際社会に広めた大きな原因になった」とし、「重大な問題だ」と非難した。

韓国や米国で進む慰安婦像や碑の設置について「著しく日本の名誉を毀損(きそん)し、国益を損なうものとして看過できない」と指摘。米国の公立高校で使わ れる教科書に「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に募集、徴用した」などの記述があることについては「教科書などで 虚偽を教えて、いたずらに日本の名誉を毀損することは許されることではない」と批判した。

慰安婦を強制連行された「性奴隷」と認定した国連人権委員会の「クマラスワミ報告書」について「(誤った認識が国際社会に流布され)近年でも人権に関する国際的なフォーラムなどで誤った認識に基づく言及が行われることが少なくない」と懸念を示した。

また、米国やオランダなどの議会で慰安婦問題を理由とした対日非難決議が採択されている事態を「憂慮すべき状況」と位置付け、「地域住民のみならず、国民同士の友好関係を悪化させ、日本の名誉と信頼を著しく傷つける結果につながりかねない」と指摘した。

そして、海外に広まった誤解を正すため、政府に対し慰安婦問題について偏りのない出版物の翻訳や国連などでの情報発信、慰安婦像や碑を設置している自治体 への働きかけを積極的に行うよう求めたほか、姉妹都市交流や企業間交流などを通じた「『親日派』の開拓」なども盛り込んだ。

ただ、戦時中の慰安所の設置については「根本的に女性の人権と尊厳を著しく傷つけたという点に議論の余地はない」とも指摘している。

タイトルとURLをコピーしました