今夏の海水浴場の開設をめぐり、神奈川県が県内13市町と各海水浴場の設置者団体に対し、「海の家の利用は完全予約制に」などとする海水浴場運営ガイドライン(指針)案を示したことがわかった。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためだが、事業者にとっては厳しい内容。「開設をあきらめさせるための指針案だ」との声も出ている。
県生活衛生課によると、指針案は21日、自治体や各団体の担当者が集まった会議で示した。海の家の事業者に求めることとしては、「完全予約制」のほか、イベント中止▽いすやテーブルの間隔を広くする▽施設がすいている時間を公表し、店頭に空席状況を掲示――などを列挙。海水浴場開設者には、砂浜に一定間隔で目印を設置するなど、人との間隔(できるだけ2メートル、最低1メートル)を確保する策を講じる▽ライフセーバー用にフェースシールドやマスクを用意▽施設への勧誘は行わない――などの事項の順守を求めている。
同課の担当者は「例年通りの人出なら、海水浴場は『3密』が避けられない。県としては海水浴場の開設は難しいと考えている」とし、「開設するのであれば完全に守り続けてほしい防止策を示した」と指針案の狙いを説明する。他府県にも参考にする素案がなく、県独自に専門家の意見も聞いてまとめたという。
21日の会議では、出席者から「順守状況を誰が確認するのか」「実効性をどう持たせるのか」などの質問が出たが、会議自体は1時間足らずで淡々と終わったという。