公的医療保険が適用される診療と、保険が適用されない診療を同時にする「混合診療」について、厚生労働省が対象を広げる検討に入った。政府が6月にもまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込む考え。有効性を評価するデータの不足などを理由に一部の患者だけに保険適用されている診療について、広げる案が有力だ。 【写真】がんステージ4、涙に暮れた 「ダメ元」の遺伝子検査がくれた2年半 混合診療は原則禁止。保険の適用される診療と保険が適用されない診療を組み合わせると、保険適用対象の治療も含めて全額自己負担となる。科学的根拠の薄い診療の拡大などを防ぐためだ。ただ、保険適用をめざす先進的な医療などに関しては、「保険外併用療養」として例外的に混合診療でも公的保険が使えるようにしてきた。 自民党の作業部会では、有効性評価のデータ不足を理由に保険適用の対象が限られている最先端の医療などについて、混合診療を認めるよう提言をまとめた。 今回、対象拡大の候補として有力なのが、がん細胞の遺伝子を網羅的に調べる「がん遺伝子パネル検査」だ。遺伝子変異を調べて治療法の選定につなげる検査で、2019年に公的医療保険に適用された。だが、化学療法などの標準治療を終えた人らに対象が限られ、患者団体が初回からの保険適用を求めてきた。