「減塩=健康」説覆され、辛い物食べる人は死亡率低下が判明

世の中には様々な健康法が溢れている。しかし、メディアが「これで長生きできる」と喧伝していても、その中には本当に信じてよいのか疑わしいものもある。

「本当に信頼に足るのは、『実際にどれだけの人が健康になったか』という事実を積み上げた『統計(疫学)データ』です」

そう指摘するのは、『みんなが信じている健康法のウソ』の著者で、東京慈恵会医科大学教授の浦島充佳医師だ。こう続ける。

「集団を対象にして集めたデータを、統計的な手法で分析し『病気になる人』と『病気にならない人』の生活習慣を長期的に比較した研究が近年増えています」

そこで今回、「死亡リスク」に関係する生活習慣の研究データを調査。すると、これまでの常識とは異なる“長生きの疫学データ”が見えてきた。

「減塩こそ健康のもと」との定説を覆したのは、カナダ・人口保険研究所が中心となって行なった研究だ。

世界17か国の男女10万1945人の食塩摂取量と過去3.7年間の死亡率の関連を調べたところ、1日あたりの食塩摂取量が12.5gだと最も死亡率が低く、WHO(世界保健機関)が推奨する1日5gに比べて死亡率が約45%低くなった。

「そもそも塩分は人間の生存に不可欠な栄養素です。日本人男性の平均食塩摂取量である11.1gほどなら問題ありません。過度に減塩すると体温が低くなり免疫力が低下するので、無理なく塩分摂取して運動などで汗を流すほうが健康的でしょう」(イシハラクリニック院長の石原結實医師)

「しょっぱい」とともに長寿効果のデータがあるのが「辛さ」だ。

北京大学などが48万7375人の中国人男女を平均7.2年間追跡調査したところ、週3~7回辛い食事を摂る人の死亡リスクは週1回未満の人より14%低かった。

「辛み成分のカプサイシンが血管を拡張して体を温め、代謝を促進するからと考えられます。ただし食べ過ぎると胃腸に負担がかかるので注意です」(石原医師)

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