「温泉×地域資源」で誘客へ 秋保と作並

「仙台の奥座敷」と呼ばれる秋保温泉(仙台市太白区)と作並温泉(青葉区)の両旅館組合が、地域の自然や観光資源を生かした誘客に知恵を絞っている。野山を駆け巡るイベント、土木遺産のパネル展など「再発見」をキーワードに企画を検討。周辺観光が楽しめる滞在型の観光を切り口に、一層の魅力アップにつなげようと必死だ。
 秋保温泉旅館組合は10月下旬、秋保の歴史や見どころを記した冊子を3000部作り、太白区秋保町の全戸と学校などに配った。住民に地域を知ってもらい、「おもてなし」の意識を高めるのが狙い。スポーツを満喫できる観光地を目指し、秋保の野山を走る「トレイルラン」などの開催に向けて計画を練っている。
 12、13日には海外メディアの関係者らを招き、秋保の魅力や課題を指摘してもらう初の機会を設ける。佐藤勘三郎組合長は「増加する海外の旅行客を呼び込むには何が必要かを考えている。地域を見直すことで、観光地としての足場を固めたい」と力を込める。
 作並温泉旅館組合は今月、地域活性化プロジェクトを始動させた。JR仙山線の交流電化試験開始60年と、土木学会が9月に作並駅周辺の鉄道施設を「選奨土木遺産」に認定したのを記念した。
 交流施設「作並湯の駅ラ・サンタ」では、12月23日までの予定でパネル展「新幹線は仙山線から始まった」を開催中。今月24日には、作並温泉宿泊者を対象に、作並駅構内で蒸気機関車の方向転換に使われた転車台の見学会を催す。
 両旅館組合の取り組みの背景には、「仙台七夕まつり」などのイベントに合わせた都市型観光だけではなく、地域資源を活用した滞在型観光の受け入れ拡大が必要との認識が組合員に広がったことがある。秋保と作並を核に、仙台市西部などとの連携も模索する。
 岩松広行作並温泉旅館組合組合長は「地域の財産を大事にして活性化を図り、地域全体で仙台、宮城の観光を盛り上げたい」と意気込む。

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