「父親に似た人を好きになる」の真相

「色んなタイプ人と付き合ったけど、結局、父親に似た人と結婚したなぁと思う……」
結婚後の女性たちから、そんな言葉を聞くことがあります。ですが、周囲の未婚女性たちの中には、反対に「自分の父親みたいな人はゼッタイに嫌!」と強く心に決めている子もいます。女の子にとって父親は、生まれた時から一番身近で見ている大人の異性。よくも悪くも、その後の男性を選ぶときの基準になっており、意識的にも無意識的にも、相手の男性に父親の影を投影してしまうようです。
では、父親というものは優秀で、頼りがいがあって、稼ぐ能力があって……なんて完璧な人物像でなくてはならないのかと考えてしまいますが、そうではなく、重要なのは「子供とって、いい父親だったか」という点だそう。「ハピモテ恋愛塾(ビジネス社/佐藤富雄・蝶々)」によると、「父親の実態がどうだった」ということよりも、「娘が父親に対してどういう感情を持っていたか」が大きいのだそうです。例えば、以下のような具合です。
○ 父親に頼れていた女性⇒男性にいいイメージがあり、ちゃんと女性を守る気持ちがあるような人を好む
○ 父親をうっとうしいと思っていた女性⇒「自分がしっかりキャリアウーマンになって稼ぐから、いい人ならそれでいい、言うことを聞いてくれる人がいい」といったような考えになる傾向。男性に期待していない心理があるため、ヒモ系の男性を選ぶこともある
また、父親の浮気や借金・暴力などで母親が悲しんだり苦しんだり、という様子を目にした場合、子供は必ず母親の味方となるもの。男の子ならば「ああいう父親にはならない」と誓い、女の子ならば「男性なんて信用できない生き物だ」と、心の底に刻まれてしまう傾向にあります。
ただし、身近に信頼し合える兄や弟がいたりすると、男性観が崩れない場合もあります。心理学者フロイトも、様々な実験の結果、「生まれてからすぐの家族関係が、その人の恋愛パターンを決定する」と唱えましたが、身近に「自分を大事にしてくれた異性の家族」がいるかどうかというのは、その人の恋愛観に大きく影響を及ぼすようです。
また最近では、ハンガリー国立ペーチ大学の研究(2008)で、「女性は父親似、男性は母親似の容姿を選ぶ傾向がある」とした発表もありました。この研究では、子どもは「異性の親」からテンプレートを作り、その知覚される図式(=つまり容姿)が似ているパートナーを捜し求める――という「刷り込み」の説が唱えられています。ただし、父親との関係が良くなかった女性については、これに当てはまらなかったそう。他にも、「より高齢の親から生まれた男女」は、年齢が上の人の顔を「より魅力的である」と感じる傾向なども分かったそうです。
この結果の理由として、「遺伝学に有利なのでは?」など様々な面から仮説が立てられましたが、「身体的、心理的に似たところがあるカップルは、似たところがないカップルよりも関係が続きやすいので、結果的に繁殖力が高くなる(そういう家族が遺伝子として生き残っていく)のではないか」、というような意見もあったそう。
確かに、選んだ男性が父親と似ている=娘である自分とも「似ている部分がある」ということ。父親を嫌っていない場合に限るようですが、生まれ持った気質や容姿のみならず、価値観や家庭のあり方も含め、「父親に似た異性と結婚しやすい」というのは、「自分にも近いところのある異性を選んでいる」ということになり、非常に納得できる説ですね。
娘を持っている父親たちは、「いい男にじゃないと、嫁はやらん!」なんて言うものですが、どうやら容姿にしても中身にしても、娘の男性像の基準は、よくも悪くも「お父さん」のようです。「将来、その子がどんな恋愛をするか」に大きな影響力を持っていることを自覚して、娘を可愛がる、素敵なお父さんでいてあげてくださいね。
引用文献:「ハピモテ恋愛塾」 ビジネス社 著者:佐藤富雄・蝶々

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