「猫との共生」条例で定める 仙台市議会可決

仙台市議会6月定例会は24日、議員有志が提出した「人と猫との共生に関する条例案」を全会一致で可決した。来年4月1日から施行する。飼い主のいない猫への無責任な餌やりが後を絶たず、ふん被害などの苦情や相談が増加する。条例は飼い主のいない猫を住民有志が管理する「地域猫活動」を推進。餌を与える市民らに対し、不妊去勢手術などの努力義務を課す。

 条例の主なポイントは表の通り。
 飼い猫に関しては「屋内での飼育」「命を終えるまでの飼育(終生飼育)」を飼い主の責務と定める。名札の装着、大規模災害時の避難先確保、必要な物資の備蓄、ケージ飼育の習慣化なども努力義務とした。
 飼い主のいない猫の管理は、地域猫活動を主軸に据える。住民有志や町内会などが猫の不妊去勢手術をした上で、餌やりや給水、排せつ物の処理などを担う。
 市民等の役割に「猫が苦手な者がいることに配慮する」と明記。飼い主のいない猫に餌を与える市民には、(1)餌の散乱などに留意する(2)人に迷惑を及ぼさない(3)不妊去勢手術を行うか、地域猫活動に移行する-などの条件を付けた。
 市動物管理センターによると、猫に関する苦情や相談は増え続ける。2018年度は844件あり、5年前の13年度(332件)の約2.5倍に達した。「庭に排せつされて困る」「畑を荒らされた」「車を傷つけられた」「餌場が汚れている」など多岐にわたる。
 議員有志が4月下旬から5月中旬に募集した条例骨子案への市民意見には「努力義務では不十分」などの罰則を求める声や「地域で対応するのは難しい」と地域猫活動への戸惑いなどが寄せられた。
 提出者代表の加藤健一議員(市民ファースト仙台)は「猫が好きな人も苦手な人も、猫と共生できる社会の実現を目指す。市民に地域猫活動への理解を深めてもらい、必要のない繁殖を防ぎ、飼い主のいない猫を減らしたい」と強調する。

タイトルとURLをコピーしました