女性トイレには、“あって当たり前”の「サニタリーボックス」。ならば、男性トイレは…?
「スタッフの男性用トイレすべてに『サニタリーボックス』が設置された。前立腺がん等の人、加齢によりパッドを使う人、みんながハッピーな環境づくり。誰にも相談できずパッドを二重のビニール袋に入れて持ち帰っていた話を聞いて驚いた。声をあげた人スゴイよ。こういう取り組みはもっともっと広がれ」
介護福祉士・のぶさん(@nobu_fukushi)のツイッターへの投稿が、多くの反響を呼びました。
「男性なのに何で?って思ったけど、目からウロコ」
「これは盲点でした。勇気をもって声を上げられたんですね、スゴイ!」
「男性も痔で生理用ナプキンを買われる方が多い」
「男性だって、必要で使っている人は捨て場に困る」
「トイレの困り事は相談しにくい」
不意を突かれた人から、経験者と思われる方々まで、このツイートに寄せられた意見も様々。とはいえ内容から察するに、やはり一般の男性トイレでサニタリーボックスを見かけることは少ないようです。では、医療機関や介護施設などでは、いかに?
男性用トイレにはサニタリーボックスがない……?!
投稿者ののぶさんに伺ったところ「僕が勤務する介護施設では、施設利用者用のトイレには、サニタリーボックスが設置されていました。それは主に汚れたパッドを捨てるためのもので、(投稿以前)職員の男性用トイレにはなかったんです」とのこと。
多様性が声高に叫ばれる時代にあって、未だ認識レベルは“なくて当たり前”の「男性用トイレにサニタリーボックス」。けれど、高齢者に限らず、若くても健康でも、必要なものはやっぱり必要。日常のトイレ事情を考えれば、外出のたびに感じていたであろう「誰にも相談できず、、」のくだりに胸が痛みます。のぶさんの心優しき思いへの共感コメントも多く、
「不便を解消したいと動いてくださった方の心意気」
「亡き祖父、男性用トイレにサニタリーボックスがあったら、もっと外出していたかもなぁ…」
「全国に広まってほしい」
“男性トイレのサニタリーボックス”普及を願う優しい世界が広がっています。想像以上の反響に驚きつつも「ツイートにも書きましたが、お年寄りも、若い人も、病気がある人も、ない人も、女性も、男性も、みんなが過ごしやすい世の中になるといいなと思います」と、のぶさん。
そんなのぶさんの思いに応えるがごとく、「リーガロイヤルホテル(大阪)」(大阪市)では、男性用トイレ個室にサニタリーボックスを順次導入。館内のロビーや宴会場・レストランを始めとした主要な男性用トイレの個室のほか、利用頻度の高い従業員用の男性トイレ個室にも導入したと言います。
老舗ホテルが、館内の男性トイレ個室にサニタリーボックスを設置
ーー恥ずかしながら、言われるまで思いも至らなかった細やかな着目点。男性用トイレ個室にサニタリーボックス設置のニュースには驚きました。
「発案者は総支配人で、他業種で導入された報道や、お客様アンケートで『客室に男性用のサニタリーバッグがないために処理の仕方に困っている』という意見や、自身が処理に困った経験のある従業員の声がきっかけです。その時点で男性用トイレにサニタリーボックスを設置している施設があることも承知していましたが、個室の外が多いようでした」
ーー男性トイレはサニタリーボックスがあっても、トイレ内に一つだけというパターンもあるんですね…
「その状態だとホテルの場合、例えば使用済のパッドを捨てる瞬間、パーティーに同席している知人とバッタリ、なんて気まずいシーンも考えられます。性的マイノリティの方の利用も想定されるので、せっかく導入するなら個室の中が良いね、従業員用の男性トイレにも必要だよね、と。様々な意見をもとに会議を進め、個室への導入に至りました」
ーーたくさんのサニタリーボックスがあるかと思いますが、男性用トイレに設置するということで、配慮されたことはありますか?
「検討している最中、ご宿泊のお客様から『客室トイレの汚物入れが、おむつを捨てるには小さすぎる』というご意見もあって。尿とりパッドを捨てても支障ない製品を念頭に、紙おむつのボックスと女性用サニタリーボックスを納入いただいていた『日本カルミック』さんに相談しました」
ーー名門ホテルが選ぶサニタリーボックス、気になります!
「相談の結果、日本カルミックさんの『サニッコシリーズ』に決定しました。理由は4つあって、1つ目が『自動開閉・非接触式のタッチレス型』。容器に触れることなく、捨てられるので衛生的です。2つ目は『二重ふた構造』になっている点。他の人が捨てたサニタリー類を目にすることなく、ご利用いただけます。3つ目は『抗菌・防臭効果を持つ専用ゴミ袋を使用』すること。ニオイのエチケットも大切ですよね。最後の4つ目は『定期的な衛生管理(ボックスを回収して工場で洗浄、抗菌コーティング)』を徹底して行ってくれることです」
ーーそれは快適ですね! 導入後の反響はいかがですか?
「スタッフからは『良いこと』『必要になってくるよね』と声を掛けてもらえました。設置したボックスの近くに『吸水パッド専用ボックスを設置しています』というシールを貼っているので、これからお客様の中で、認知が広がっていくことを期待しているところです。こうした衛生用品に限らず、すべてはお客様のニーズを出発点に、サービスや施設を絶え間なく見直して、当ホテルでの滞在が快適なものになるよう努めていきたいですね」
大阪の名門として名高い老舗ホテルらしく、2025年の大阪万博を前に、さらなる“おもてなし精神”を磨き上げているよう。
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・みやなお)