仙台市青葉区の老舗玩具・雑貨店「白牡丹(はくぼたん)」は8日、本店を青葉区一番町3丁目のぶらんどーむ一番町商店街内にオープンさせた。2003年に玩具売り場を富谷市へ移転して以来、17年ぶりに創業の地で復活。地域に親しまれたおもちゃ屋はカプセル玩具販売機「ガチャガチャ」専門店として戻ってきた。
本店1階は約80平方メートルの売り場に、人気漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」関連グッズ、ミニチュア家具や仏像まで290種類のガチャガチャを置く。平均単価は約300円。商店街に子どもが気軽に遊べる場をつくろうと企画した。
8日の開店後は親子連れや若者で混み合った。初めてガチャガチャに挑戦したという青葉区の大学生小野次朗さん(24)は「狙ったものが取れなかったのでまた来たい。ハンドルを回す感覚が楽しい」と話した。
2階は同社運営の「ピースアート」を11月6日に開店させた。約2000種類のパズルと約100種類のカードゲームを扱う。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で高まる需要を取り込む。
青葉区の主婦佐々木鈴子さん(65)は「白牡丹に子どもとよく来ていたので懐かしい。今は私自身がパズルにはまっているのでこんなお店を待っていた」と笑顔を見せた。
白牡丹は1949年設立。プラモデルやぬいぐるみをそろえたが、家電量販店などとの競争激化で本社機能と化粧品売り場を残して所有するビルから移転し、1、2階を賃貸に回した。新型コロナなどの影響で今年6月からテナントが相次いで撤退したため、再び自社での出店を決めた。
この間も白牡丹は宮城、岩手両県の商業施設などに6店を展開し、地域性に合わせた店づくりに取り組んだ。「外で修行を積んで一番町に戻ってこようと思っていた」と上野啓介常務(49)。想定より早まったことに、「コロナで何一つ良いことはないが、踏ん切りはついた」と話す。
仙台市の中心商店街は地元資本の店が減り、不動産業への転換が加速する。上野常務は「移転した結果、白牡丹を知らない子どもが増えた。リアル店舗ならではのガチャガチャを通じてもう一度親しんでもらいたい」と意気込む。