「白神は癒やしの場」 世界遺産20年、秋田でフォーラム

青森、秋田両県にまたがる白神山地がことし12月で世界自然遺産登録から20年となるのを記念し、「恵みを活かして」をテーマに記念フォーラムが7日、秋田市であった。白神山地の魅力や存在意義、人との関わりなどについて事例が発表された。
 東北森林管理局の主催で約220人が参加。蒔田明史秋田県立大教授は基調講演で「白神山地は東北の豊かな自然のシンボルだ」と指摘した。木の種類や大きさなどを長期観測するモニタリング調査を紹介し「データを取り、森を見守り続けることは、人と自然の関わりを考えることにつながる」と述べた。
 能代市の山岳ガイド、後藤千春さんは「森に抱かれ、包まれ、癒やされる場所。自分が森と一体の“生命”として存在していることが感じられる」と魅力を語った。
 秋田県側では8月の豪雨で県道が被災し、ブナの森を手軽に歩ける「岳岱(だけだい)自然観察林」まで行けない状態が続く。地元県議の武田英文さんは「これまで岳岱に頼りすぎだった。いろいろな登山コースを開拓し、宿泊客増にもつなげるべきだ」と問題提起した。
 ガイド団体「白神マタギ舎」の小池幸雄さんは、獲物のクマに敬意を払うマタギの姿を紹介し、「人間は必ずモノを食べるが、それは全て命をもらっていることに気付かされた」と話した。

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