「秋」サケ漁活気 宮城・気仙沼、亘理

◎採卵回復手応え/気仙沼・大川
 宮城県気仙沼市の大川で7日、採卵のための今季のサケ漁が始まり、気仙沼鮭(さけ)漁業生産組合のメンバーが昨季の初捕獲量(79匹)を大きく上回る155匹を引き揚げた。
 作業は同市幸町の捕獲所で午前6時半に開始した。組合員が網に掛かったサケを次々とすくい上げると、サケは船の上で勢いよく飛び跳ねていた。雄は92匹、雌は63匹で、体長70~75センチが多かった。
 昨季は海水温上昇に伴う遡上(そじょう)の遅れや大雨による施設の流失などが影響し、捕獲数は例年の半分の約1万5000匹、採卵数は900万粒にとどまった。今季は捕獲数3万~5万匹、採卵数1200万粒を目指している。笠沼暹組合長は「まずまずの大きさに育ったサケが帰ってきてくれた。ことしは豊漁を期待したい」と話した。
◎主役水揚げ笑顔/亘理・荒浜
 亘理町の郷土料理はらこめしに欠かせない秋サケが7日、同町荒浜漁港で今季初めて水揚げされた。1日の解禁から7日遅れ。東日本大震災からの復興を目指す港町は、ようやく訪れた秋味の到来に活気づいた。
 定置網船「幸寿丸」(6.9トン)が約3キロ沖合で捕獲した約1トンを積んで帰港。森敏行船長(60)ら乗組員6人が、サケが満載されたコンテナをクレーンでつり上げ、ダンプカーの荷台に移した。多くは市場規模が大きい石巻市に運ばれ、一部は初物として荒浜魚市場で競りに掛けられた。
 森船長は「海水温が高いせいか全体的に小ぶりで雌の数も少ないが、初回にしてはまあまあ。台風が来なければ、これから良くなると思う」と期待する。水揚げを見守った県漁協の菊地伸悦会長は「秋サケが揚がると港が活気づく」と喜んだ。
 秋サケは荒浜漁港の主要海産物の一つ。はらこめし用の食材として、町内の飲食店や水産加工場などで調理される。解禁を前に県漁協は放射性物質の検査を行い、結果は不検出だった。
 秋サケ漁は今月中旬以降がピークで、年末まで続く。県漁協仙南支所亘理は130~150トンの水揚げを見込む。

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