目指せ、空飛ぶ原付き-。兵庫県明石市の男性らでつくるグループが、小型個人用航空機の開発に挑戦している。自動操縦機能を搭載し、誰もが乗れる次世代の交通手段を目指す計画で、2月中には、ハングライダーに動力を組み合わせ、初飛行を予定。2022年の完成を目標に、インターネットを通じて資金を募る「クラウドファンディング」にも取り組んでいる。
輸送機器メーカーに勤める森本高広さん(38)=同市=が企画を練り、昨年1月ごろからスタート。「P.P.K.P(パーソナル・プレーン・開発・プロジェクト)」と題し、神戸や大阪、東京などのエンジニアらに声を掛けた。京都市のハングライダースクールなどの企業も協力している。
計画では、機体は全幅10・4メートル、全長4・3メートル。ハングライダーに動力と1人が乗れるスペースを付けた設計で、翼は折りたたむことができる。小型のエンジンを搭載し、最高速度は時速120キロ。複数の回転する翼を持つ「ドローン」などと比べ、垂直の離着陸ができない一方、大きな翼があるため、万が一、エンジンが停止しても滑空しながら降りることができるという。自動運転機能により、災害時の物資運搬などの用途も想定している。
開発は三つの段階に分けた。第1段階では、飛行機を前進させる動力ユニットを製作。今年以降の第2段階で、コンピューターによる自動操縦システムを開発し、第3段階で製品として完成させる。
メンバーは平日、それぞれの仕事の傍ら、自宅などで基盤製作や設計などを担当。休日に神戸市西区のスタジオに集まり、夢の実現に向けて作業を続けている。昨年8月には、東京で開かれた全国規模の展示会に出展し、開発中の動力ユニットを発表。大手メーカーから声が掛かるなど、手応えを得ている。
世界では近年、ドローンと車を合わせた「空飛ぶ車」など、小型航空機の開発競争が進む。森本さんは「日本も負けていられない。一つ一つ新しいことを試しながら、確実に作り上げたい」と意気込んでいる。クラウドファンディングは18日まで。もりもと技術研究所TEL050・3698・1400