「第3の矢」成長戦略推進 産業競争力強化法が成立

 安倍晋三政権の成長戦略を具体化するための産業競争力強化法が4日の参院本会議で自民、公明、民主党などの賛成多数で可決、成立した。今後5年間で投資減税や規制改革など幅広い施策を集中的に行い、企業に事業再編や設備投資を促す。日本企業の国際競争力を底上げすることで経済成長を目指す。
 同法は、平成25年度からの5年間を日本経済の再生に向けた「集中実施期間」と位置づけ、特に3年間の施策を「実行計画」としてまとめることとした。施策が確実に実施されるように計画は毎年見直す。
 規制改革では、企業単位で特例的に規制緩和を認める「企業実証特例制度」を創設する。企業側からの提案に応え、安全確保などを条件に規制緩和の特例を認める。燃料電池車の実用化を進めるため、水素タンクに現在は認められていない新しい鋼材を活用することなどを想定している。
 また、企業が新たに始める事業が適法かどうかを政府に問い合わせて確認できる「グレーゾーン解消制度」を設置。ベンチャー企業の成長や企業の事業再編を手助けするための税制優遇措置を講じるほか、「3Dプリンター」など先端設備の機器をリースする企業を援助する制度の導入も盛り込んだ。
 安倍政権が金融緩和、財政出動に続く「第3の矢」と位置付ける成長戦略は、民間投資を促して経済を活性化し、賃上げや雇用拡大につなげる狙いがある。産業競争力強化法は、成長戦略の推進役との位置づけで、同法に盛り込まれた施策を着実に実行することで企業の業績改善を進める方針だ。ただ、企業の競争力向上には各国と比べて高い水準にあるとされる法人税の実効税率引き下げが欠かせないとの指摘もある。

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