気象庁は1日から、短時間で集中的な豪雨をもたらす「線状降水帯」の予測情報の発表を始める。発生する可能性がある場合、半日ほど前に、全国を11地方に分けた広域での予測を伝える。予測精度はまだ十分ではないが、住民に早めに避難の準備をしてもらうことが期待される。
予測情報は、警報や注意報に先立って警戒を呼びかけるために同庁のホームページなどで発表する「気象情報」で示す。発生の半日前から6時間前、「日中」「夜」といった大まかな時間帯での発生可能性を伝える。報道機関のニュースでも伝える。
実際に線状降水帯が発生したことを伝える「顕著な大雨に関する情報」の発表基準を満たすような雨量や雨域ができる可能性が高まった場合に発表される。同庁が過去3年の事例で検証したところ、予測した地方で発生を的中できるのは4分の1程度。3回に2回は予測できず発生する。ただ、予測通り発生しなくても大雨となる可能性は高いといい、同庁は発表された際にはハザードマップや避難所の確認などを求めている。
また同庁は31日、予測精度の向上のため、6月から大学など14機関と連携して線状降水帯の集中観測に取り組むと発表した。複数の観測船を東シナ海へ派遣するなどして得られたデータを共有。線状降水帯の発生メカニズムや内部構造の研究を進めるという。データの一部は1日からの予測情報にも活用される。(吉沢英将)