「自己PRがヘタクソな人」に決定的に欠けている5つの視点

自己PRが上手な人の5つの特徴

 現在は、プレゼンテーションや見せ方が重要な時代になり、「内容は大したことがないのに表現がうまい人」が、「内容はすごいのに表現が下手な人」を凌駕している。とくに、自己PRがうまくできる人と、その技術がない人との間で、結果に大きな差がついてしまっているのだ。せっかくちゃんとした内容なのに、見せ方を誤ったせいで評価されないのはあまりにもったいない。ちょっと練習すれば誰でもそれなりのことができるようになるというのが筆者の持論である。だから、自己PRの下手な人には、ぜひ頑張ってほしい。

 一般的に自己PRが上手な人には、下記のような特徴がある。

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2.    具体的な数字や事実を提示している

3.    ストーリーテリングが巧み

4.    ポジティブな姿勢

5.    自己認識が的確でありつつ謙虚

 このような特徴を備えるためにはどうすればよいのか、ひとつずつ見ていこう。

(1) 聴き手の関心を理解している

 自己PRが上手な人は、聴き手の関心やニーズを理解し、それに合わせて自分の経験やスキルを紹介する。これは、コミュニケーションの基本であるが、実行は容易ではない。相手が最も関心を持っているポイントに焦点を当て、その関心に応えるコミュニケーションをするためには、次のようなしっかりした準備が必要だからである。

・事前リサーチ

 相手の背景、関心事、業界の動向、企業の文化や目標などを事前に調査する。これは、面接、ビジネスミーティング、ネットワーキングの場など、さまざまな場で役立つ。

・マッチング

 聴き手の関心やニーズに直接関連する自分の経験や要素を選び出し、それらを具体的に、後述する事例やストーリーを通じて紹介する。ただし関心やニーズの予測は外れることもあるので、いくつか候補を想定して準備をしておく必要がある。

 せっかく関心を捉えた話をしても、前置きが長かったり、余談に流れ過ぎたりして、相手の関心から外れることもあるので注意しなくてはならない。また、たまに、事前リサーチをせずとも、状況に合わせて臨機応変に対応できる達人もいるが、普通の人は、準備なしでは、まず失敗する。地道に入念なリサーチとマッチング、およびシミュレーションをすることを強くおすすめする。

(2) 具体的な数字や事実の提示している

 数字を使って具体的な成果を語ることは重要である。数字や事実を用いて自分の経験を裏付けることで、説得力のある自己PRが可能になる。その際、できるだけ客観性を保ち、“自慢ではない”と認識してもらえるようにすることが重要である。ポイントは次の3つだ。

・数値と事実を用いる 

 実績や成果を伝える際には、可能な限り具体的な数値を用いて表現する。成長率、削減率、顧客満足度など、数値を示されると真実味が増す。また、事実を話すことも重要である。具体的なプロジェクト、成果物、表明された発言など、数値と事実(ファクト)が挿入されるだけで、聞き手から見たときの信頼感が大幅に向上する。お会計時の接客もスムーズに対応。決済操作が簡単。お会計がスマートに。

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・成果の背景と結果の意義を説明する

 成果を上げたプロジェクトや活動の背景を簡潔に説明し、あわせて、自分がどのような役割を果たしたかを具体的かつ端的に説明する。そして、成果が持つ意義や影響を強調する。チームにとっての成果の価値を具体的に示すことで、(結果的に)自分の貢献度を際立たせることができる。このとき、全体の成果の意義は述べても、自分の成果の重要性は述べてはいけない。自慢するのは全体であって、個人ではないということが重要である。

・形容詞は使わない

 自己PRが下手な人は、数字ではなく、“非常に”“かなり”といった形容詞が多い。形容詞はできるだけ使わないことが重要である。また、人はみんなで一緒に努力した全体の成果を自慢されても嫌な気にならないものだが、個人的な貢献を自慢されたとたんに嫌な気持ちになる。不思議なものだが、人間心理を十分に考えた言葉づかいが必要である。

(3) ストーリーテリングが巧み

 自分の経験や実績を魅力的なストーリーとして伝える技術があると、人は語り手の話に引き込まれる。ストーリーテリングは、自己PRをする上で極めて効果的な手法で、聴き手の記憶に残りやすく、共感や興味を引き出すことができる。

・「はじまり、中盤、おわり」の構成にする

 明確な構造を持った物語は、聴き手にとって追いやすく、関心を持続させることができる。挑戦や問題(はじまり、序)、取り組み(途中、中段)、成果や学び(おわり、結論)という流れで話を組み立てる。具体的には、「私が赴任したときには○○のような問題があった(はじまり)。その困難を克服するために、こんな仮説を立て手を打ったが、まったくうまくいかなかった。ところがある日、偶然にも○○さんに出会い、そこでこういう解決のヒントを得た。それをもとに別の手を打ってみたところ、最終的には、○○(数字)の成果を得た(中段)。ここから学んだことは○○である(おわり)」といったような形である。なんとも陳腐で噴飯ものの筋書きである。しかし、人はこういう風に説明されると記憶に残りやすい。お会計時の接客もスムーズに対応。決済操作が簡単。お会計がスマートに。

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・自分の感情と具体的な逸話を含める

 自分が経験した感情や思いを物語に織り交ぜることで、聴き手の共感を呼ぶことができる。挑戦や失敗から得たもの、成功の喜びなど、人間味のあるエピソードは聴き手の記憶に残りやすい。具体的な場所、時間、人物などの詳細を物語に加えることで、よりリアリティを高めることができる。

 世の中にはストーリーテリングの達人がいて、こういう人は、小さなことを大したものであるかのように見せかけ、本当は別の人の成果なのに、なぜかその人が大活躍したように思わせている。こういう人は偉くなる。なんだかなあ、といつも思う。

(4) ポジティブな姿勢

 自己PRが上手な人は、言葉遣いや姿勢がポジティブである。(本当は自信がなくても)自信を持って自己PRをすることで、相手に良い印象を与える。楽観的で前向きな態度を示し、相手に対してポジティブなエネルギーを伝えることで、自分をより魅力的に見せることができる。

・自信をもってポジティブに語る

 自信を持って話しているように見せることで、自分のスキルや経験に価値があると確信していることを伝える。これは、相手に自分の能力を信頼してもらうための重要なステップである。自信がなさそうに話す人は内容に疑問を持たれる。反対に本当は自信がなくても、自信があるように話されると、聞き手は簡単に信じてしまう。また、ポジティブな姿勢は感染する性質があり、自己PRを聞く人にも前向きな影響を与える。

・言葉遣いに注意する

 「できなかった」ではなく、「こうしたい」といった前向きな表現を使い、「問題がある」ではなく、「改善できる余地がある」という。解決策や成長に焦点を当てる言葉を選ぶ。いつもポジティブな言葉を語る人には、ポジティブな空気が漂い、前向きな人が集まる。まずは自分の話から一切のネガティブワードを排除したい。

(5) 自己認識が的確でありつつ謙虚

 自己認識と謙虚さのバランスを保つことで、自分の能力や成果を誇示しつつも、過度に自慢することなく、リアリティと誠実さを持って自己紹介することができる。

・自己評価の正確さ

 自己の能力と実績を正確に評価し、客観的な事実に基づいて自己PRを行う。過大評価も過小評価もせず、現実に即した自己認識を持つことが重要だが、人は一般的に自分を過大評価しがちなので、控えめくらいでちょうどよい。また、改善が必要な領域や過去の失敗から学んだ教訓をしっかりと把握していることを示すことで信頼性が増す。

・他者への言及

 自己の成果を話す際に、それを支えてくれた人々やチームの貢献を言及することで、謙虚さを示すことができる。「私は○○することができました」という表現よりも、「私たちは○○することができました」というチームを含めた表現を使うことで、自己中心的ではない姿勢を示すことができる。

・学習や成長を強調する

 成功だけでなく、失敗から学んだことや成長した点を語ることで、謙虚さと自己成長への意欲を示すことができる。

 1から5まであるが、とりわけ5の “謙虚でありながら上手にアピールする能力”は、日本社会で成功するためにもっとも重要な能力である。この難易度は相当に高いが、常に気をつけていれば、最終的にはそれなりのレベルにたどり着けるはずだ。

ChatGPTに自己PR文のお手本を書いてもらった

 最後に、この5つの特徴に基づいて、ChatGPTに自己PR文を作成してもらった。下記の文章は、指示をして何度か書き直させたが、GPTの文章だけで構成されており、人の手は一切加えていない。ChatGPTと筆者とのやりとりにかかった時間は約15分である。

ChatGPTに書いてもらった自己PR文

ChatGPTに書いてもらった自己PR文© ダイヤモンド・オンライン

 いかがだろう。上記の文をGPTに自己採点させると、「5項目全てで満点」とのことだ。人材ビジネスやコミュニケーションのプロから見れば、まだ改善の余地はあるだろうが、それなりによく出来た自己PRではないかと思う。苦手な人は生成AIを上手に使えば、及第点をとれるようになるだろう。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)

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