植物が花を咲かせる上で重要な働きをする「花咲かホルモン」(フロリゲン)をジャガイモの遺伝子に組み込むと、花だけでなく、地中の茎でジャガイモを作ることを奈良先端科学技術大学院大の島本功教授(植物分子遺伝学)らの研究グループが世界で初めて発見した。25日付(現地時間)の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
島本教授はスペインの研究グループとともに、イネのフロリゲンを遺伝子組み換え技術でジャガイモに導入。日照時間を長くして通常はジャガイモができない環境条件で生育させた結果、地中の茎に多くのジャガイモが成った。さらに、地上部の茎では花も咲き、地下茎でも花芽が形成されたという。
今回の発見で、イネのフロリゲンが花を咲かすだけでなく、植物によっては花以外の器官を作る機能を持つことも明らかになった。
島本教授は、フロリゲンの研究が今後さらに進んだ場合は「ジャガイモ増産の可能性がある」とし、将来的には農産物の改良も期待できるという。
島本教授はこれまでにフロリゲンが花を咲かせる仕組みを解明し、開花時期の変更に成功している。