2日の記者会見を、被害を受けた元所属タレントらはテレビ中継などで見守った。「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の木村伸一さん(46)は「新会社に所属タレントを移したら結局、今の事務所が存続することとほとんど変わらない。本来は所属タレントを他の芸能事務所に移籍させ、事務所の芸能活動をなくすべきだ」と指摘した。
<芸能界に君臨した「ジャニーズ」が消える。創業者の故ジャニー喜多川氏の長期にわたる性加害で、ジャニーズ事務所は2日、社名を変えて被害者救済に専念し、芸能活動は新会社に移すとした。華やかな舞台の裏にあった重大な人権侵害。再発防止に向けた意識改革は進むのか。>
◆「このような態度で、再出発できると思っているのか」
記者会見で謝罪するジャニーズ事務所の東山紀之社長(中央)
新会社の社長に就く東山紀之氏は故ジャニー喜多川氏の性加害について、会見で「見て見ぬふりをしていたのかなと思う」と述べていた。木村さんは「そんな人に新会社を任せるのは甘いのでは」と疑問視した。
会の大島幸広さん(38)は「ジャニーズ事務所が廃業になる点は良かった」としつつ「週刊誌が報じた東山新社長の元マネジャーの性加害疑惑や、会メンバーの証言や書籍で指摘された自身の性加害疑惑は否定した。このような態度で、再出発できると思っているのか」と指摘。事務所側が示した補償についても「訴訟を起こされるのを懸念し、補償を急ぎ、事を荒立てたくないのだなと感じた」と語った。
会のイズミさん(仮名・55)は「補償のための会社名を『スマイルアップ』とは、葬式に白い服を着て行けというようなもの。被害者をばかにしている」と批判。1カ月前に心のケア窓口に相談したが、まだ連絡がないと不信感を募らせる。会見に出席した東山氏と井ノ原快彦氏に「自分の言葉で語っておらず、心が伝わってこない」と憤った。(望月衣塑子)