「週刊文春」が過去4週にわたって報じてきた、ジャニーズ事務所創業者の故・ジャニー喜多川氏によるジャニーズJr.への性加害問題。計6人が被害を語ってきたが、今回、元ジュニアの岡本カウアン氏(26)が初めて実名・顔出しで取材に応じた。
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2012年から2016年までジャニーズJr.として活動した岡本氏。ジュニア時代は、『Myojo』(集英社)の表紙を飾ったこともある。ドラマ『GTO』(2014年、フジ系)や、トーク番組『Rの法則』(NHK Eテレ)にレギュラー出演するなど、200人近いジュニアの中でも、特に活躍した1人だった。
ジャニー氏の被害者は何人いるのか…
彼がジャニーズに入ったのは、名古屋のモデル事務所に登録していた15歳の頃のこと。
マネージャー同士が知り合いだった縁で、ジャニーズ所属だった岡本健一に、ジャスティン・ビーバーの「Baby」を歌う自分の姿を収めたDVDと、音楽をやりたい思いを綴った手紙を送った。
すると2012年2月12日、寝坊した日曜日の朝に携帯電話が鳴った。相手はジャニー氏。東京国際フォーラムで始まるSexy Zoneのコンサートに来いというのだった。慌てて新幹線に飛び乗った岡本氏は、ジャニー氏の電話の5時間後、5千人の観客の前で「Baby」をアカペラで歌っていた。その夜はジャニー氏の渋谷の自宅マンションに泊まることになった。ただ、この日は何もなかった。
ジャニー氏が言った「カウアン、早く寝なよ」の意味
2012年3月、中学卒業を控えた頃だった。東京での仕事を終え、他のジュニアたちとジャニー氏の自宅に泊まることになった。リビングで出前の夕食を食べると、ジャニー氏が近づいてきて、肩をマッサージしながら言った。
「カウアン、早く寝なよ」
岡本氏が振り返る。
「他のジュニアも、『今日はカウアンか』と、それで気づいたと思います。その日はジャニーさんの部屋から近い部屋で寝ました。『寝なよ』って言われたときは、ジャニーさんの寝室か近くの部屋に寝ないと、翌日すごく機嫌が悪くなるんです。その頃には他のジュニアにも聞かされていたし、自分でも調べたりしていたので、ジャニーさんのことはわかっていました。でも、その部屋には3つベッドがあって、他の奴もそこで寝ていたんですが……」
ジャニー氏は深夜、家の中を回る。電気を消したり、ジュニアたちに布団をかけたり、遅くまで騒いでいないか、見回りをするのだ。
サッサッサッサッ。
スリッパの足音が彼の寝る部屋の前で止まり、ジャニー氏が入ってきた。見回りでカーテンを閉める際、窓の明かりで少年たちの顔は既に見分けている。
「下のほうからベッドに入ってきて、布団を引き剥がされて、僕の腰のあたりで横になるんです。それ以上上がってくることはなくて、足元で全て終わります」
パンツを脱がされ「覚悟した」
行為は足のマッサージから始まる。浴衣はすぐにはだけさせられ、ジャニー氏の手が直接身体に触れる。しばらくすると、手は上に伸びてきた。
「マジだ、と。最初はマッサージだけかなとも思いました。でもパンツの上から触られて、脱がされちゃって……。パンツ脱がされるともう覚悟しますね。手で触られて、それから……」
性的な行為が終わり、その後、ジャニー氏とは、何事もなかったかのように「おはよう」と挨拶を交わした岡本氏。「ユー、仕事どこ? じゃあ、一緒に出ようか」と言われ、2人でエレベーターで降りるときに、小さく折りたたまれた1万円札を渡されたという。
そして岡本氏がジャニー氏による性被害を受けたのはこの1回だけではなく、「計15~20回はあった」という。
また「自分を守れるように、ジャニーさんにされた時の動画を後で撮って残してあります」とも語る。
ジャニーズ事務所に、岡本氏の被害を把握しているか訊ねたが、締め切りまでに回答は無かった。
これまで告発が相次いできたジャニー氏による少年たちへの性加害。ジャニーズ事務所は一切の事実確認に応じず、沈黙を貫いているが、今回の告白は、実名、顔出しでの証言だけに、今後も元ジュニアの声を“無視”し続けることができるのだろうか。コンプライアンスの徹底を唱えてきたジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長、そして日本のメディアの姿勢も問われている。
このほか4月5日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」及び4月6日(木)発売の「週刊文春」では、岡本氏が語る自らの生い立ち、水槽やジャグジーもあったジャニー氏の自宅マンションの様子、大阪のホテルでされたこと、岡本氏が退所を決意した理由などについて詳報している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年4月13日号)