仙台市泉区の加茂団地で唯一のスーパーが閉店し、住民が買い物に困っている。隣接地区にはスーパーがあるが、団地は丘陵地で坂を上り下りしなければならず、高齢者を中心に不便を強いられている。地元の連合町内会長らは2月26日、市役所を訪れ「スーパー閉店は死活問題」と切実な状況を訴え、市に買い物弱者への対策を要請した。
閉店したスーパーは「ヤマザワ加茂店」。1993年6月にオープンし、加茂団地で四半世紀にわたり営業を続けてきたが、2月24日を最後に撤退した。
住民によると、2002年に市が加茂公設小売市場を廃止し、2年前には唯一のコンビニエンスストアが閉店。ドラッグストアなどは残るが、生鮮食料品が手に入る商業施設が消えた。
加茂団地は1970年代、県住宅供給公社が丘陵地を切り開き、造成した。現在は2000世帯、5500人が暮らす。高齢化が深刻な郊外ニュータウンの一つで、加茂小学区の高齢化率は34.12%と市平均の24.98%を大きく上回る。
隣接する青葉区桜ケ丘には複合商業施設内に「みやぎ生協ブランチ仙台店」、泉区古内には「ヨークベニマル泉古内店」などのスーパーがある。車を使えば加茂団地から遠くないが、高齢者が徒歩で行くとなると20分以上かかるという。
市役所を訪れた加茂連合町内会の阿部晃会長は遠藤和夫経済局長に面会。「団地は丘の上にある。高齢者が買い物をした荷物を抱え、急な坂道を上るのは大変なことだ」と訴え、郡和子市長への要望書を手渡した。
ヤマザワ跡地は商業施設以外に用途変更をせず、生鮮食料品を扱うスーパーを誘致するほか、誘致が実現するまでは移動販売車の導入、既存スーパーの買い物バスの加茂団地への延長を支援するよう要請した。
遠藤局長は「スーパーの誘致が最終目標だが、市は企業にお願いしかできず、ハードルは高い」と理解を求めつつ、当面は移動販売の支援に乗り出す意向を示し、住民側に個人宅配サービスの利用を提案した。