過去最大級にヤバイ自販機がある――
あるツイッターユーザーによる、こんな投稿が話題になっている。自販機といえば、Jタウンネットでも、だし、クレープ、みそ汁など、様々な変わり種自販機を紹介してきたが…いったいどんな自販機なのか。
その自販機がこちらだ。
その名も「買うと幸せになる自動販売機」。
…なぜだろう、ちょっと胡散臭い感じがする(ごめんなさい)。ツイッターの投稿を見る限り、売られているのは様々な種類の「天然水」のようだ。
ツイッターではこの自販機に対し、
「概念が現実を侵食している…」
「変な成分でも溶けだしてるのかと思った」
「これは金額によって幸せの度合いが違うって事か…?」
「買うと幸せになる自販機なのに飲まないと不幸になる天然水を売っている(笑)」
といった声が寄せられている。本当に買ったら幸せになれるのか…ぜひ試してみたい。
Jタウンネットは2020年9月26日、自販機が設置されている東京都墨田区を訪れた。
「ブラピが飲んだ天然水」(10万円)
現場を訪れた筆者。「買うと幸せになる自動販売機」は、東武鉄道・小村井駅から10分ほど歩いた場所にあった。
先にタネ明かしをしておくと、この自販機は、現代アート作家の佐俣和木(さまた かずき)さんによる作品「Just a water ?買うと幸せになる自動販売機?」だ(Just a water…)。
長屋文化の残る墨田区の東向島・京島エリアでは9月22日から、アートプロジェクト「すみだ向島 EXPO 2020」が開催されている。佐俣さんの作品は、無料で鑑賞できる「軒下プロジェクト」に属し、その名の通り軒下に設置されている。
一見すると普通の自販機。しかし並んでいるのは、ちょっと名前がおかしい「天然水」たちだ。
天然水は、数えたところ全部で24種。その一部を筆者の感想とともに紹介しよう。
「300ミリリットルもある天然水」(30円)
「300ミリリットルしかない天然水」(300円)
言い方変えただけで、なんで10倍?
「海水浴を楽しんだ天然水」(9000円)
どういうこと?
「野宿の天然水」(30円)
「アウトドアな天然水」(1万5000円)
野宿もアウトドアなのに…野宿かわいそう。
「ブラピが飲んだ天然水」(10万円)
価格はアレだが、ちょっと飲みたい。
「左の天然水を買った人はこの天然水もよく買っています。」(8900円)
通販でよく見るやつ…。(左はブラピ)
※商品下のコメントは筆者の個人的な感想です
商品価格は30円〜10万円。2000円以上のものはオンラインでの販売となっているため、その場で現金がなくても購入できるというわけだ。
どの天然水を買おうか…土曜の17時前ということもあってか、いくつかの商品は売り切れている。オンライン購入という手もあるが、せっかくなのでここで買いたい(お金を惜しんでいるわけではない)。
筆者が選んだのは「人気No,1の天然水」(700円)。すると700円の水を買っている筆者が面白かったのか、現場に同行していた筆者の友人も、なぜか「300ミリリットルしかない天然水」(300円)を購入していた。
さっそく「人気No,1の天然水」を飲む筆者。…うん。おいしい。疲れてしまった体に清らかな水が染み渡る。人気があるのもわかる気がする…かも。
そして友人は「300ミリリットルしかない天然水」を口に。
「…うん…」
特にコメントはなかったが、言わんとしていることは分かる。きっとJust a waterなのだろう。
「中身は違ったりするのかな?」そう話しながらペットボトルの裏面を見た筆者と友人。そこには成分がしっかり表示されていたが……。
ボトルの中の天然水はそれぞれ違うのか、それとも同じなのか。気になる人は実際に購入して確かめてみてほしい。
肝心なのは、「買うと幸せになる自動販売機」で水を購入することで、幸せになれるかどうかだ。
実際に買ってみて幸せになれたか…筆者としては正直分からないが、友人と水1つで盛り上がることができたと思えば、悪くないのかもしれない。友人もきっとそう思ってくれているはずだ(たぶん)。
Jタウンネットは9月18日、メールを通してすみだEXPO実行委員会を取材。「買うと幸せになる自販機」がツイッターで話題になっていることについて、主催者で美術家の開発好明(かいはつ よしあき)さんは、
「ネット上で話題になることで、路地の軒下の作品を見に来て頂けたら嬉しいです。作品はその場に行って見て感じて初めて個々の経験となります。SNS をきっかけに是非展覧会にお越し下さい」
とコメントした。
「すみだ向島 EXPO 2020」の開催は10月11日まで。自販機はその間、設置されている。