多彩なエコカーやスポーツカーが大集結―。「第42回東京モーターショー」が11月30日、12月3日からの一般公開を前に報道陣に公開された。自動車各社が環境対応などの最先端技術をアピールし、低迷する国内販売の起爆剤としたい考えだ。
今回は千葉市の幕張メッセから東京都江東区の東京ビッグサイトに会場が移り、24年ぶりに東京で開催。世界初公開の52車種を含め、計398の自動車や二輪車が展示された。
(11月)30日と12月1日は報道陣向けに公開。2日に開会式を行い、3日から11日まで一般公開される。午後6時以降のナイターも用意。都心近くの会場で仕事帰りの社会人も立ち寄りやすくし、集客アップを図る。
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≪「走りで日本車復権」宣言≫
「若い人が車に興味がないといわれ、メーカーとして正直悔しい。走る楽しみを再び感じてもらえる車をつくる。私たちの決意表明だ」
11月30日に報道陣に先行公開された東京モーターショー。トヨタ自動車の豊田章男社長(55)は出展ブースの壇上で、若者向けに開発したスポーツカー「86(ハチロク)」の前で力を込めた。
■スポーツカーで需要喚起
国内自動車メーカー各社は、家庭で充電できる電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)などのエコカーに加え、「走りの楽しさ」を伝えるスポーツカーなども多数出展している。歴史的な円高や国内市場の縮小で苦戦を強いられるなか、エコカーによる燃費だけでなく、自動車の本来の魅力である走りを競い、需要を喚起したい考えだ。
ホンダはEVとPHVのコンセプトカーを出展した。会見した伊東孝紳社長(58)は「走る喜びを最大限に具現化」と、オープンタイプ2人乗りのスポーツカー「EVスター」をひときわ大きな声で紹介。市販に向け開発中のハイパフォーマンス・スポーツカーなども次々に披露。さらにスポーツカー「NSX」の後継となるハイブリッド車(HV)を近く投入する計画も表明し、「スポーツカーのホンダ」を強調した。
日産自動車もモータースポーツブランド「ニスモ」を市販車ブランドとして投入することを発表。ダイハツ工業も低燃費と走りのよさを両立させた小型スポーツカー「D-X(ディークロス)」を世界初公開した。
各社がエコに加えて、走りの良さを打ち出している背景には、次世代エコカーへの各社の戦略が明確になってきたこともある。
■未来の車は多彩
「HV、EV、PHVのどれかが次の主流になるということはない。お客さまのニーズや使い方によってそれぞれの特長を生かす形で生き残る」(豊田社長)ことを前提に、各社が、エコカー戦略を明確化。各社が得意な分野に注力する一方で、自動車本来の魅力を加味する方向へとハンドルを切った。