都道府県による運転マナーの良さ・悪さの違いが話題になることがある。たとえば、「名古屋走り」という言葉は、名古屋周辺で見られがちな荒い運転を指して生まれたものだ。その土地その土地の運転マナーの違いを、なかば揶揄する形でこうしたスラングは生まれてくるが、果たして地域によって運転マナーの良し悪しの差は本当にあるのだろうか。
2022年にJAF(日本自動車連盟)が実施した全国調査がある。2022年の8月10日~8月31日の期間のうち、月曜日から金曜日の平日の10時~16時の間、各都道府県2か所ずつ、信号機が設置されていない横断歩道で「一時停止する車両の割合」を調べたものだ。
調査はあくまで「信号機が設置されていない横断歩道で一時停止するかどうか」を調べたものにすぎないが、ここから運転に対する意識の高低を見て取ることはできるだろう。調査の対象となった車両の台数は、全国で7540台に及んでいる。
PHOTO by iStock
全国における結果
まず、全国での調査結果を見ていきたい。
調査対象7540台に対して、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車は3003台となっている。割合としては、39.8%になる。
JAFが発表している2016年以降のデータによれば、一時停止する車の割合は右肩上がりで増加しているため、運転に対する意識は改善してきていることがわかる。しかし、依然として、約6割の車は一時停止しないことが明らかとなった。
今回の調査は、JAFが2016年に実施した「交通マナーに関するアンケート調査」の結果を受けて行われたものだ。同アンケート調査では、設問の中で「信号機のない横断歩道で歩行者がわたろうとしているのに一時停止しない車が多い」と思うと答えた人は86.2%(「とても思う」が43.7%、「やや思う」が42.5%)に達している。こうした状況を改善するため、「信号機のない横断歩道」における車の一時停止率の向上を目指す目的でこの全国調査は実施されている。
各都道府県における結果
では、次に各都道府県ごとの数字を見ていこう。
JAFが発表した数字を見ると、意外なほどに都道府県ごとの差が大きい。
まず「運転マナーが良い」といえる「一時停止する割合が多い都道府県」の上位5県を挙げてみよう。(括弧内は一時停止する割合)。
1位 長野県:82.9%
2位 山梨県:64.6%
3位 兵庫県:64.7%
4位 静岡県:60.8%
5位 熊本県:57.3%
なんと、長野県が圧倒的な数字で1位となった。8割強のドライバーが「信号機が設置されていない横断歩道で一時停止する」ということだ。他の都道府県を引き離して、ダントツで「運転マナーが良い地域」であるといえるだろう。
では、次に下位5道府県を見ていく。
43位 北海道:25.2%
44位 佐賀県:25.1%
45位 京都府:23.5%
46位 和歌山県:22.5%
47位 沖縄県:20.9%
最下位は沖縄県という結果になった。1位の長野県に比べ、ほぼ1/4という数字はかなり低いと言わざるを得ないだろう。
また、ここには入らなかったが、都市部では東京が27.3%、大阪が26.4%とこちらも低い数字となっていた。一方、「名古屋走り」といわれる愛知県は55.2%と健闘した。
もちろん、調査場所によって交通事情なども異なり、この調査結果がイコール「運転マナーの良し悪し」とはならないだろう。しかし、これらの結果から大まかな「運転意識の高低」を見て取ることはできる。
今後、横断歩行者の事故や死傷者を減らすために、日々、交通ルールを順守した運転を心がけていきたい。
さらに<外国人ドライバーが岡山県の道路で「日本やばい」と驚愕したワケ>では、岡山県の道路をバイクで走る外国人の不思議な体験を取り上げています。