「遺伝子重複砂漠」を発見 東北大発表

東北大大学院生命科学研究科の牧野能士助教(比較ゲノム学)の研究グループは6日、人間の全遺伝情報のヒトゲノム上に、生殖細胞内で遺伝子がコピーされる「遺伝子重複」が生じにくい領域を見つけたと発表した。
 人間は約2万の遺伝子を持つが、個人によって数が違うことがある。遺伝子の重複や消失で生じるこの違いは「コピー数多型」と呼ばれる。特定遺伝子のコピー数多型は自閉症や知的障害など疾患の原因とされる。
 研究グループは、脊椎動物の初期進化の過程で起きた「全ゲノム重複」に着目。この際に重複したまま残っている重複遺伝子と、その他の遺伝子の距離を解析した。
 その結果、重複遺伝子の近くにはコピー数多型が少なく、離れると多くなる傾向があった。重複遺伝子が集中する領域ほど、コピー数多型が抑制されることも分かった。
 長い生物の進化過程ではまれに全ゲノムが重複することがあり、ヒトを含む脊椎動物は約5億年前に2度起きたことが分かっている。重複遺伝子のコピー数多型は、疾患と密接な関係があるという。
 牧野助教は「『遺伝子重複砂漠』とでも言うべきゲノム領域が明らかになり、病気や致死につながる有害なコピー数多型の効率的な探索が期待される」と話す。

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