「都立高離れ」定員割れ増加 中高一貫5校、来年度以降募集停止

■大学定員厳格化、付属校に魅力

 定員割れを起こす都立高が増加傾向にある。人気とされてきた都立の中高一貫校の高校入学では3校が定員割れ。来年度以降、5校が高校からの募集を停止する。都立復権を目指し進学指導重点校の指定など、都立高改革で人気がでていたが最近は私立に流れる傾向に。専門家は、私立高の実質授業料無償化などの支援制度の充実や、私立大の定員厳格化で大学受験が狭き門になるなか、大学付属校などに受験生が流れていると指摘する。(植木裕香子)

 都教育委員会が2月中旬に発表した令和2年度の都立高一般入試の最終応募状況によると、定員割れが発生したのは、全日制171校のうち47校となり、現行制度による募集が開始された平成6年度以降で最多となった。都立高の定員割れは近年増えており、30年度は前年度比約3倍の38校となり翌31年度には44校にのぼっていた。

 定員割れは全国屈指の進学校である日比谷高でも起きた。31年度入試は倍率2・31倍だったが、入学手続き者が定員を下回り人気校では異例の2次募集を行った。数十人が国立大付属などに流れたとされる。このため日比谷は令和2年度入試で定員より20人多く合格者を出し、定員に厳格な都立では異例の対応をとった。

 大学進学実績の高さなどから人気を集める都立中高一貫校でも定員割れが起きている。2年度の高校入試では両国や富士、大泉の3校が2次募集を実施した。

 中学からの入学者が多く、高校からの募集が少ないため都立中高一貫の高校入学は受験生や保護者から敬遠されがちであったのも事実。3年度には富士と武蔵、4年度には両国と大泉が、それぞれ高校からの募集停止を決定。白鴎も募集を停止する方針だ。

 都立から私立に流れる背景には、平成28年の都知事選で小池百合子知事が公約に掲げた「給付型奨学金」がある。さらに小池知事は今年1月、私立高校授業料の実質無償化制度を拡充、国の支援制度に都独自の補助金を追加する制度をさらに充実化。対象となる世帯の年収を760万円未満から910万円未満に引き上げる方針を表明している。

 受験事情に詳しい安田教育研究所の安田理代表は、私立高の中でも大学付属の学校に人気が集中する傾向にあると指摘。「定員の厳格化によって、このところ、大学の一般入試が狭き門になっているため、確実に進学できる大学付属の私立高校が魅力的に映るのだろう」と話している。

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