SNSの「闇バイト」に絡む強盗事件が相次いだことを受け、政府は月内にも全閣僚が参加する犯罪対策閣僚会議を開き、省庁横断で闇バイト対策を強化する方針を固めた。国民の「体感治安」の悪化を食い止めるため、政府全体で対策に本腰を入れる必要があると判断した。
関東など各地で発生した強盗事件では、高額報酬をうたう闇バイトの募集に応じた若者らが実行役となった。住人らに暴力をふるって金品を奪う凶悪な手口で、国民の間に不安が広がった。警察庁によると、2021年夏以降、14都府県で少なくとも五十数件の事件が起きている。
政府関係者によると、岸田首相が主宰する犯罪対策閣僚会議を3月中に開き、闇バイトの撲滅に向けた対策を議論する。警察による取り締まりのほか、SNS上の募集の投稿を削除する対策の推進や、若者らに加担しないよう呼びかける広報啓発の強化などが柱になるとみられる。
事件では高額な資産を持つ人が狙われた可能性も浮上しており、資産情報の流出防止に向けた対策も話し合われる見通しだ。
闇バイトは、特殊詐欺の末端メンバーや、違法薬物の荷受け役の募集などにも悪用されており、政府は最新の犯罪情勢を踏まえた対策を検討する。
犯罪対策閣僚会議は2000年代はじめに治安悪化が社会問題化したことを受け、03年に設置された。警察だけでなく各省庁で総合的な対策を進めるのが狙いで、これまで児童ポルノや暴力団排除、テロ防止などの対策を決定している。