「電子写真立て」の契約数急増 ソフトバンク、新たな収益源

通信機能付きデジタルフォトフレーム(電子写真立て)の契約数が急増している。ソフトバンクモバイルは、昨年6月の発売後、「通信モジュール」全体の契約数が8月に83万2200件と14倍強に伸びたが、その約9割がデジタルフォトフレームだったようだ。新たな収益源としてライバルのNTTドコモやKDDIも注目し、相次いで参入している。
 通信機能付きデジタルフォトフレームは、ソフトバンクが、「フォトビジョン」の商品名で業界で初めて発売した。携帯電話で撮影した写真をフォトフレーム専用のアドレスに送信すると自動的にスライドショーが始まる仕組みだ。
 量販店などで販売していたデジタルフォトフレームに通信機能を内蔵したもので、業界では組み込み用途向けの「通信モジュール」に区分される。「撮影してすぐに親戚や祖父母に送れる手軽さから、プレゼントで贈るケースも多い」(ソフトバンクモバイル)。
 2年間契約すれば月額料金が半額の490円と手軽な価格なことも人気を後押ししている。ソフトバンクの通信モジュールの契約件数は、09年5月末は5万8100件でドコモの151万件、KDDIの94万件に大きく水を開けられていたが、今年8月は83万2200件に達した。「増加分のほとんどがフォトフレーム」(同)で、18%増のドコモや26%増のKDDIに迫る原動力になっている。
 ソフトバンクは8月に法人向けサービスも開始し、小売業などに向けて、小型のデジタルサイネージ(電子看板)の需要も取り込む考えだ。
 市場拡大の動きに、ドコモは昨年12月から本格販売を始めた。KDDIは今年6月に「PHOTO-U SP01」を投入。携帯電話だけでなくパソコンからも写真を送信したり、画面用の壁紙などコンテンツ(情報の内容)サービスを標準で使えるのが特徴で、昨年8月に9900件だった通信モジュールの純増数は、今年8月に3万3700件に増加した。
 高機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」の人気で純増数の独り勝ちが続くソフトバンクを追うドコモとKDDI。各社とも、純増数の鈍化に頭を悩ませているが、デジタルフォトフレームは高齢者などスマートフォンの利用が期待できない層を取り込めるのが強味で、新たな収益源として期待がかかる。(阿部賢一郎)

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