「毎月なぜか収入より支出が多くなってしまう…」。そんな夫婦の問題点を家計再生コンサルタントの横山光昭さんは「特定の出費が家計を圧迫しているケースが多い」と指摘。家計の足かせになりやすい代表的な3つの費目と原因を解説します。 【画像】「電気代やガス代よりも」貯まらない夫婦が使いすぎている3つの支出(写真2枚)
■電気やガス代よりも注意すべき料金とは 物価が高騰するなか、エネルギー価格の上昇も激しくなっています。電気代やガス代の値上がりを実感している人は多いのではないでしょうか。 最近の家計相談の経験を踏まえていうと、光熱費は家計圧迫の上位に位置しますが、それ以上にネックになっているのが、水道代です。
多くの水道局では2か月分の上下水道の使用料金を一度にまとめて請求する仕組みになっています。 水道代も電気やガスと同じく値上がりしていて、相談を受けるお客様のなかにはその金額が3万円を超える例も珍しくありません。私見ですが、1か月あたり1万2000円を超えたら高い部類に入るでしょう。 水道事業は水道料金収入をもとに自治体ごと運営されており、水道設備の老朽化が値上げのいちばんの理由のようで、多くの自治体で耐用年数を超えた水道管の交換工事を迫られ、値上げをせざるを得なくなっています。
しかも水道管の交換工事は今後何十年も続くため、全国的な値上げは継続していくことが予想されています。 そんななか、電気やガスに比べ、水道代に対する節約意識は低い気がしてなりません。電気はこまめに消すけど、水道は流しっぱなしで使うなど、コストととらえる意識が薄いようです。意識を改めて対策を打たないと水道代は膨らむばかりです。 ましてや電気、ガスは今年1月使用分から政府による料金値引き支援を受けられますが、水道代は対象ではありません。料金節約の自助努力をより必要とします。
■固定費のなかで低金利の「住宅ローン」が最難関 次に警戒するのは固定費です。収入のなかから毎月一定額差し引かれるのが固定費の痛いところですね。夫婦や家族単位でかかる固定費もあるため、支出過多は避けられません。 該当するのは、家賃または住宅ローン、生命保険料、教育費、スマホ代など。 なかでも削減しづらいのは住宅ローンでしょう。低金利の現状では、借り換えしても効果があまり得られないからです。賃貸で家賃が高い場合は引っ越す手もありますが、持ち家だとそう簡単にはいきません。
生命保険料やスマホ代は見直しができます。保険でいえば、不要な保障のカットや他社への切り替え、スマホでいえばプラン変更や格安スマホへの切り替えなどで削減できるわけです。 教育費はご家庭それぞれの考えがあるので、私たちはその意向に沿ったアドバイスをしています。教育費を厚くしたいなら他の費目の見直し、教育費を下げたいなら削減策を提案するスタンスです。 ただ、夫婦共働きで世帯年収が1000万円以上あっても、教育費のかけすぎは好ましくありません。家計に余裕があると子どもの教育にお金をかけられます。
親の子への期待からどんどんかさみ、負担増となりがちに。パワーカップルほど教育費貧乏に陥りやすいので注意が必要でしょう。
■変動費のチリツモで気をつけたいのは… 最後は変動費のなかの「食費」です。食費の管理がゆるく予算オーバーとなっている世帯ほど、家計全体のやりくりもできていない傾向を感じます。 食費の管理がゆるくなるのはちょっとした贅沢思考から。たとえば、調味料だけはいいものを使う、野菜はオーガニックにこだわるなどが典型例で、当然、出費は増えます。
お取り寄せなどのネット宅配を利用するのもよく聞く話ですが、本人がちょっとした贅沢と感じなくなったら危険ですね。 水道代、固定費、食費。いずれの費目の支出が負担となっていないか、チェックしてみてはいかがでしょう。 監修/横山光昭 取材・構成/百瀬康司 イラスト/村林タカノブ