「震災学」多角的に検証 東北学院大が雑誌創刊

東北学院大は、東日本大震災が突き付けた社会的な問題や地域の課題を考える雑誌「震災学」を創刊した。年2回、3年間発行する予定。震災で表出した課題を整理し、一人一人がどう向き合うのかを問い続けるという。創刊号はボランティアやジャーナリズムなどをテーマに論考や講演録などを掲載し、多角的に震災を検証している。
 同大の学生たちが活動する災害ボランティアステーションや学長室が中心となり、編集委員会を設立。大学内外の研究者や新聞記者らに原稿を依頼した。
 学長室長の佐々木俊三教養学部教授は「震災から1年余りがすぎ、現場が抱えている問題や、これまでの対応の反省が見えてきた」と説明。創刊の意図を「地域の大学として内外の研究を集約し、学問的な立場から反省を促したい」と語る。
 創刊号は5章構成。第1章の「震災が問うた基礎的な諸問題」では、同大と河北新報社が昨年6月に開いたシンポジウムで、「人間復興」を訴えた経済評論家の内橋克人さんの基調講演などを収録した。
 同大が組織的にボランティアで関わる気仙沼市唐桑町についての章も設けた。唐桑町舞根地区の集団移転の動きや、津波についての地域の伝承などを紹介している。
 そのほか「被災地の現実」「災害とボランティア」「災害とジャーナリズム」の章を設けた。学生によるボランティアへの関わり、地方新聞社の取り組みなどを振り返り、現場から見えた課題を提示している。
 「被災地からの発信」(佐々木教授)を重視して、仙台市の出版社「荒蝦夷(あらえみし)」から発売した。
 A5判317ページ。1890円(税込み)。連絡先は東北学院大学長室事務課022(264)6424。

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